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三菱UFJ信託銀行。富裕層や企業等からの拠出金を元に、返済不要な給付型の「奨学金ファンド」を立ち上げへ。2025年度に募集開始。ファンド規模1000億円を目指す(RIEF)

2024-05-28 13:31:52

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  三菱 UFJ信託銀行は28日、不特定多数の資金提供者からの寄付金に基づく返済不要な給付型奨学金ファンドを立ち上げると発表した。奨学金プラットフォームを運営するガクシー(東京)と連携し、資金提供者の希望に応じて給付先を選択できる仕組みとする。ファンド規模は1000億円を目指す。富裕層や民間企業などからの拠出金を、三菱UFJ信託が運用を受託し、その運用益の実績をもとに奨学金を支給する。支給は2025年度に始めるとしている。資金提供者の希望に基づき給付先を選択できる仕組みはわが国では初めてとして、同行らはスキーム全体を特許出願している。

 

 三菱UFJ信託の提携先のガクシー社は、奨学金情報を総合的に発信する情報サイト「ガクシ―」のほか、奨学金の応 募・選考・支給等を一元管理するクラウド型奨学金運営管理システム「ガクシーAgent」等をネット上のプラットフォームで展開している。提供する奨学金情報は約1 万6000件にのぼり、ほぼすべての国内情報を網羅しているという。

 

 6月から企業や富裕層を対象に拠出金の募集に向け需要調査を始める。最低受け入れ額などは今後、検討する。ガクシーが奨学金の募集から審査、給付等の管理面を担当し、三菱UFJ信託が拠出金の運用面を担当する。同行は信託報酬として0.5%を受け取り、拠出金全体の運用を受託する。国内外の債券や株式に分散投資することで期待リターンは5%弱を見込んでいるという。同運用益をもとに、拠出者が希望する受給者に対して奨学金を支給する事業を展開する。

 

奨学金ファンドの流れ
奨学金ファンドの流れ

 

 両社は6月から企業や富裕層を対象に、ファンドへの拠出金を募集するための事前の需要調査を始める。拠出者の意向を踏まえて、最低受け入れ額などの詳細を詰める。2025年度中にファンドを運営する一般社団法人を設立し、実際に富裕層や企業等からの拠出金を受け入れる。運用資産規模は、29年度には1000億円まで拡大することを目指す。運用益を原資に大学生など約4000人を対象として、一人当たり年間120万円ほどを支給する目標を立てている。

 

 拠出者は、資金拠出後、5年ごとに拠出金の返還を受けることも可能。また、資金の返還を受けない代わりに税制面で寄付金控除のメリットを受けて、支援を継続することも可能だ。ファンドが運用で損失を出さない限り、ファンドに参加することで個人でも企業でも社会貢献できることになる。

 

 現在、学生の約2人に1人が奨学金受給者とされる。そのうち約6割は将来返済が必要な貸与型によっている。一方で、日本の奨学金流通額は教育費全体の1割にも満たない水準で、人的資本の育成・強化の観点からも、若者に対する公的資金や奨学金等の増額が社会的な課題だ。だが、貸与型の奨学金の場合、支給を受けた学生は卒業・就職後、将来にわたり長期間、返済し続けなければならず、生活上の経済的負担になるケースがある。そこで、今回のファンドは返済不要の奨学金とすることで、学生側の負担に配慮する。

 

 ガクシーのプラットフォームを利用することで、同ネットワークの情報をもとに、奨学金の募集から、選考、給付までの手続きを専用のシステムで行うことが可能になる。これにより、手作業による一連の手続きを自動化でき、運営コストの縮減にもつながる。また情報のシステム化によって、資金の拠出者の意向によって、奨学金の給付相手をたとえば、理系の学生、ひとり親世帯の支援、留学用等と、ある程度決められるようにすることで、拠出者の満足度をより高めることも目指す。

https://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_mutb/240528_1.pdf

https://gaxi.jp/notice/apxvP3RmA7R02jMD

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000051780.html