HOME10.電力・エネルギー |福島県内の子ども前年比1万5494人減 原発事故で減少数2倍 (福島民報) |

福島県内の子ども前年比1万5494人減 原発事故で減少数2倍 (福島民報)

2012-05-05 17:48:41

fukushima050501
福島県内の4月1日現在の子ども(15歳未満)の数は25万6908人で、前年同期に比べて1万5494人減り、減少数は東京電力福島第一原発事故の影響で例年の2倍以上となった。県人口に占める割合は13・1%で、子どもの数と合わせて過去最少を更新した。子どもの数には住民票を残したまま県外に避難したケースも含めており、実際に県内に住んでいる子どもの数は集計よりも少ないとみられる。子どもの県外流出をどう防ぐかが大きな課題としてあらためて浮かび上がった。

こどもの数は5日の「こどもの日」に合わせ福島県が4日発表した。過去10年間の子どもの数、対前年比の減少数の推移は【グラフ】の通り。

過去10年間の減少幅を見ると、平成15年から22年までは毎年5500~7000人程度で、減少率は2%前後だった。しかし、原発事故直後の昨年4月1日現在では、前年比で8563人減り、減少率は3・0%に拡大。原発事故から1年が経過した今回は5・7%と減少率はさらに大きくなった。

年齢別で見ると、年齢が下がるほど子どもの数が少ない傾向にある。数が最も少ないのはゼロ歳児で1万4102人。最も多いのは13歳の2万201人だった。県の総人口196万9852人に占める子どもの割合13・1%は、前年同期の13・6%より0・5ポイント低い。子どもの数、割合はいずれも比較可能な統計が残る昭和25年以降の最少となっている。

今回の人口は、5年に一度の国勢調査を基に住民票の異動を集計してまとめた。住民票を異動せずに県外に避難したケースは人口減少分に反映されていない。将来の帰還に向けて住民票を地元に残したままの子育て世代は多いとみられ、県統計課は「子どもの県外流出の実態はさらに深刻な状況にある」と推測する。

県は県民健康管理調査や18歳以下の医療費無料化、母乳の放射性物質検査の全額助成をはじめ、屋内遊び場の確保、避難先の住民の結び付きを強化する事業などを通して、県内での子育て環境づくりに努める方針だ。しかし、県内の除染は進まず、避難区域では区域再編の見通しが不透明なケースも多く、子育て世代を県内に呼び戻す上での課題は山積みしている。

国立社会保障・人口問題研究所によると、大規模災害発生後は「産み控え」が強まる傾向にあり、平成7年の阪神大震災では被災地で出生率が一時的に減少した。しかし、5年後以降は徐々に回復したという。ただ、原発事故という特殊な災害に見舞われた本県の場合は、放射線対策など母親が安心して子どもを産み育てる環境が整うまでは産み控えなどが続くと分析している。

http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4147&blockId=9968385&newsMode=article