新電力イーレックス、スタートアップのハイドロゲン・テクノロジーと連携、岩石由来の触媒と水から水素製造へ。初の商用の水素発電所を21年度中に開設へ(RIEF)
2021-04-22 15:54:34
新電力大手のイーレックス(東京)は22日、スタートアップ企業のハイドロゲン・テクノロジー(東京:HT)との間で、水素専焼による発電所の建設をはじめ、燃料電池自動車(FCV)への水素供給等での共同開発事業で覚書を締結した。HTが開発した「水」と「岩石由来の触媒」による水素発生技術から、安全で安価な水素を製造するというもので、手始めに、山梨県富士吉田市に出力約360KWの水素発電所を建設する。
(写真は、HT社が現在、実施している事業設備の様子)
HTの技術は、炭素を含まない鉱石「超マフィック岩」と水(H2O)を低圧で反応させて水素(H2)を取り出すというもの。現在、同社の山梨県富士吉田市の工場では、面積約78㎡の水素生成室で、108kg/h(1,200㎥/h)、2.592t/日(28,800㎥/日)の水素を生成しているという。生成した水素は、低圧コンプレッサーで制御する。
今回、イーレックスとの提携で、水素発生量が現行の設備より約3倍大きい実証商用機を開発する。一般家庭約100世帯が年間に使用できる電力を実際に継続的に発電することで、大規模商用化の可能性を検証する。発電所は2021年度中に稼働する予定。
開発事業で水素製造事業拡大の目途が得られれば、将来は5万~10万KWの発電所を展開する計画という。スケールメリットを高めることで、同事業での発電コストを現状の1kW時当たり58円程度から17円以下に引き下げることを目指すとしている。
水素エネルギーは、石油・ガス・石炭等の化石燃料エネルギーに代わる持続可能型のクリーンエネルギーと期待されている。ただ、その製造に際しては、通常は水の電解設備等を利用するため、現時点では高コストが課題だ。また化石燃料を燃料とする水素製造方法も開発されているが、十分な脱炭素効果が期待できるのかという問題もある。
HTの開発技術による水素製造は、鉱物資源に水を加えて反応させることで水素を発生させるという手法なので、製造プロセスではCO2は一切発生しないという。ただ、発生する水素量をエネルギー源として常時安定的に、かつ安価で確保できるかどうかが最大の課題のようだ。
https://www.erex.co.jp/news/pressrelease/1476/