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凸版印刷とENEOS、古紙原料のバイオエタノール事業で協働。オフィスから出る防水加工紙等の「難再生紙」も原料に。連続生産方式でコスト削減。2027年の実用化目指す(RIEF)

2021-06-15 11:32:59

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 凸版印刷とENEOSは14日、古紙を原料としたバイオエタノール事業の立ち上げで合意したと発表した。両者の協働では、通常の再生紙だけでなく、リサイクルが難しいとされる防水加工された紙や、ノンカーボン紙等も原料として利用できるという。両社は2027年度以降に、バイオガソリンやバイオジェット燃料としての実用化を目指すとしている。

 

 (上図は、両社が目指すバイオ燃料製造の流れ)

 

 バイオエタノールを原料とするバイオ燃料は、植物等を原料とするため、原料製造から燃料燃焼までのライフサイクルアセスメント(LCA)でのCO2排出量が少ない燃料になる。ただ、現在、実用化されているバイオエタノール生産は毎回、生成物を取り出し原料を再投入するバッチ式のため、高コストが課題となっている。

 

 今回両社が目指すのは、ENEOSが開発したエタノール連続生産プロセスによって、製造工程で原料をつぎ足しながらエタノールを抽出し、連続的に製造することで製造効率を上げることができるという。また、使用する古紙には通常の再生紙だけでなく、リサイクルに難のあるとされてきた防水加工紙やノンカーボン紙などの「難再生古紙」も、凸版印刷が最適化して原料化し、コスト競争力を高めることができる。

 

 両社は今後、小規模プラントでの検証テストを実施して得たデータ等を基に、事業の採算性や環境性能の評価を重ね、2027年以降の事業化を目指すとしている。将来的には自治体からの古紙回収も検討し、サーキュラーエコノミー事業として各地で展開することも想定している。

 

 製造したバイオエタノールは、バイオガソリン、バイオジェット燃料、バイオケミカルの原料として、低カーボン燃料を必要とする関連産業に販売する方針だ。製造過程で発生する副生成物のCO2は分離・回収して有効活用する方針だ。将来はセルロース系廃棄物も原料として使用することも考えているという。

 

 バイオエタノールを原料とするバイオ燃料はライフサイクルアセスメント(LCA)でのCO2排出量が少ない。これに対して、サトウキビやコーンなどの可食原料を由来とするバイオエタノール製造は、食糧との競合のほか、原料調達が天候に左右されるなどの課題がある。

 

  凸版印刷は、地球環境課題への長期的な取り組み方針を定めた「トッパングループ環境ビジョン2050」を策定し、脱炭素社会・資源循環型社会の実現に貢献する取り組みを打ち出している。ENEOSはグループの2040年長期ビジョンで自社排出分CO2のカーボンニュートラルを掲げている。

 

https://www.toppan.co.jp/news/2021/06/nsrelease210614_1.html