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日本最大の石炭火力発電企業「JERA」、アンモニア混焼20%の石炭火力発電実証化に向け、燃焼用の改造バーナ開発に着手。20%混焼の「次」が見えない「石炭火力温存路線」を継続(RIEF)

2021-10-07 23:08:15

JERA001キャプチャ

 

 日本最大の石炭火力発電企業であるJERAは6日、IHIと連携して、石炭火力への燃料アンモニアの混焼実験のための改造バーナーに着手したと発表した。国内最大発電所である碧南火力発電所の5号機で小規模利用試験を開始する。JERAではすでに、燃料アンモニアの20%混焼の2024年度の実用化に向けて実証実験に取り組んでおり、同実験に活用するバーナを開発する。

 

 JERAのアンモニア混焼の実証実験は、同発電所の4号機で6月から始まっている。計画は6月から2025年3月の約4年間の予定で、2024年度中に、アンモニアの20%混焼を目指している。JERAはアンモニア貯蔵タンクや気化器等の付帯設備の建設、アンモニアの調達を担当し、IHIが実証用バーナの開発のほか、設備の設計や工事を担う。

 

混焼用に開発する改造バーナ
混焼用に開発する改造バーナ

 

 今回の5号機で始まった改造バーナの開発実験は6カ月の予定で、4号機での大規模混焼に使う実証用バーナの開発を目的としている。バーナ全48本中2本を試験用バーナに改造し、材質の違いによる影響や実証用バーナに必要な条件等を調べる予定。

 

 大型の商用石炭火力発電所で大量のアンモニアを混焼する実証事業は世界初としている。ただ、欧州等では石炭火力発電自体の閉鎖や、ガス火力への転換等を進めており、日本の様に石炭火力を燃料混焼によって維持しようとする国は少ない。

 

 実証実験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受ける。実験に使用するアンモニアの量は約200㌧。発電所敷地内の脱硝用アンモニアタンクから5号機の試験用バーナに供給される。

 

国内最大の石炭火力発電の碧南発電所
国内最大の石炭火力発電の碧南火力発電所(愛知県)

 

 JERAは「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、2050年時点で国内外の事業から排出されるCO2ネットゼロを掲げている。アンモニア混焼はその一環で、火力発電を維持しながら、燃料の「グリーン化」を促進するとしている。ただ、アンモニア混焼20%を、アンモニア100%専焼とするのか、CCUSの併用とするのか、「ネットゼロ化」の着地については明確ではない。

https://www.jera.co.jp/information/20211006_772