INPEX、オーストラリア北部準州の沖合で、LNG事業から回収したCO2を貯留する鉱区を落札。イクシスLNGプロジェクトからのCO2を貯留する構想。早ければ2020年代末にも実現(RIEF)
2022-08-26 23:24:31
INPEXは、オーストラリアでカーボン回収利用貯留(CCUS)事業に活用する鉱区を、パートナー企業とともに落札したと発表した。同国北部準州の北西沖合の海域にある鉱区で、オーストラリアが計画している世界最大規模のCCUSプロジェクトとなる「ダーウィンCCUS」ハブと連動する期待もある。INPEXでは同地区のさらに西方で開発中のイクシスLNGプロジェクトでの温室効果ガス排出量(GHG)削減に活用する考え。
(写真は、イクシスガス・コンデンセート田から産出された生産物をガスとコンデンセートに分離・処理を行う施設)
落札した鉱区は、 同国北部準州の北西沖合の水深約 30~75mの海域にあり、GHGの地下貯留に適した地域とされるボナパルト堆積盆地に位置するG-7-AP 鉱区。海底の地層は透過性の高い砂岩で構成されているという。広さは27500㎢に及ぶ。
トタル・エナジーCCSオーストラリア社、豪州のウッドサイド・エナジー社、それにINPEXの子会社INPEX Browse E&P Pty Ltd (IBEP) の3社で「ボナパルト CCS 評価共同事業体」を組成して落札した。出資割合はINPEX(IBEX)53%、トタル26%、ウッドサイド・エナジーが21%。
2025年8月ごろまで調査を実施し、2020年代後半にまず年200万㌧の規模で貯留を始める予定。INPEXがCCUS事業の適地を実際に調べるのは今回が初めて。調査では、地震の影響評価や試掘調査を通じてCO2の貯留可能量などを調べる。調査費は1億6500万豪ドル(約155億円)を見込んでいる。
調査で事業化のめどが立った場合は、INPEXが中心となってCCS事業に乗り出す。INPEXが操業中のイクシスLNGプロジェクトから排出されるCO2を同鉱区の海底に貯留することを目標としている。イクシスのLNGのCO2を回収貯留できれば、CO2フリーの「クリーンLNG」となる。
同地域の北部準州政府は、CCSに適しているとされる同地区全体を活用する世界最大規模のCCUSに特化した「ダーウィンCCUS計画」を想定している。INPEXでは自社開発のLNGのクリーン化のためのCCUS開発だけでなく、同国北部地域でのCCUS事業全体においても、重要な役割を果たしていくとしている。
「ダーウィンCCUS計画」は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)が主体となって、北部準州政府およびINPEXやその他の企業と共同で開発を進めている低排出CCUSハブ構想。同ハブを通じて、北部準州が世界的な低排出エネルギー輸出のリーダーと して、新たな持続可能な産業の発展を促すことが期待されている。