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ヤマハ、ホンダ等の国内二輪4社。二輪車向け「水素エンジン」開発で連携、「技術研究組合」設立。電動二輪車が抱える航続距離の課題克服のため、「水素バイク」を選択肢に(RIEF)

2023-05-17 17:03:46

suisoキャプチャ

 

 ヤマハ発動機等の国内二輪4社は17日、二輪車向けの「水素エンジン」を開発する「技術研究組合」の設立で合意したと発表した。二輪車にも電動車が出ているが、搭載できる電池の容量から航続距離が短いなどの課題がある。水素エンジンの場合、現行のガソリン使用の内燃機関エンジンに近い構造となることで、CO2を排出せずに航続距離も確保できる期待がある。「日本の『水素バイク』」が脱炭素時代を疾走するか。

 

 (写真は、技術組合設立で連携する4社の代表)

 

 連携するのは、カワサキモータース、スズキ、本田技研工業、ヤマハ発動機の4 社。5月11日に、二輪車向けの水素エンジンの基礎研究を目的とした「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合(HySE: Hydrogen Small mobility & Engine technology)」の設立認可を経産省から得ている。

 

 研究組合の活動期間は5年間。すでに自動車向けで水素エンジンの開発を進めているトヨタ自動車と、水素サプライチェーンなどに実績のある川崎重工も、組合の特別組合員として活動支援に加わる。川崎重工は、水素エネルギー開発促進の企業で組織する「技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)」の主幹事を務めている。トヨタは四輪車用大型水素パワーユニットの実験や解析、設計などのノウハウを有する。

 

 二輪各社は、それぞれ独自に電動二輪車の開発を進めている。ただ、四輪車に比べて二輪車では構造上、蓄電池を設置するスペースが限られており、現状の電動二輪車は航続距離が短いなどの課題を抱えている。そこで4社が連携し、電動化以外の脱炭素の選択肢として水素エンジンの実現可能性を探ることとした。

 

 水素エンジンはガソリンエンジンの内燃機関車に近い構造で、気体の水素を燃やして動力を得るため、CO2はほぼ発生しない。すでに開発されている燃料電池車の場合、気体の水素から電気を発生させ、その電気を使ったモーターで動く方式で、水素エンジンとは異なる。ただ、水素を燃料に利用する場合、着火領域の広さから燃焼が不安定になり易いほか、二輪車だと、燃料搭載スペース確保の必要性もある。

 

 技術組合の理事長に就任するヤマハ発動機執行役員、技術・研究本部長の小松賢二氏は「水素エンジンには色々な課題があるが、この組合活動を通じて基礎研究を進め、先人たちが長きにわたって創り上げてきた内燃機関を、今後も存在し続けられるよう、使命感を持って活動に取り組んでいきたい」と述べている。

https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2023/0517/corporate.html