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NTTグループとJERA。共同で米再エネ企業から日本国内の再エネ事業を約3000億円で買収。NTTが8割、JERA2割の出資割合。国内再エネ事業の再編成劇加速へ(RIEF)

2023-05-18 18:13:28

GPI001キャプチャ

 

 NTTグループのNTTアノードエナジーとJERAは18日、米国の再生可能エネルギー事業者Pattern Energy Group LPが日本国内で保有するグリーンパワーインベストメント(GPI)等の再エネ事業を共同で取得する契約を結んだと発表した。取得金額は約3000億円。Ptternの持分の約99%のほか、少数株主の保有分も将来的には取得する考え。出資割合はNTTアノードが約8割、JERAが約2割。

 

 GPIは2004年の創業。一貫して、国内での再エネ事業の開発、建設、運営に取り組んできた。特に洋上風力発電には、他社に先駆けて2006年から取り組みを開始し、北海道石狩湾新港での事業(出力11.2万kW)が本年中に稼働する見込み。2015年にPattern Energyの傘下に入り、経営基盤の安定化、事業の拡大等を進めてきた。

 

 現在、国内4カ所で陸上風力を、太陽光発電は千葉県富津市など2カ所で展開中。保有発電能力は合計で約33万kW。2020年には、当時日本最大の陸上風力「ウィンドファームつがる(出力12.2万kW)」を、2023年5月11日には「住田 遠野ウィンドファーム(出力11.3万kW)」の商業運転をそれぞれ果たしている。陸上風力では豊田通商傘下で最大手のユーラスエナジーHDや2位のJパワーなどに次ぐ規模。

 

 NTTとJERAは買収後、NTTがGRIの資産のうち陸上風力と太陽光を中心に保有し、JERAが洋上風力を中心に電源を取得する方向という。今後、必要な手続きを経たうえで、 本年中に株式等の取得を完了する見込み。

 

 企業の脱炭素化が本格化する中で、日本政府は「グリーントランスフォーメーション(GX)」として、石炭火力発電をアンモニア混焼等で「延命」させる政策を推進しようとしている。だが、エネルギー企業等は石炭火力の延命には技術的課題があることを踏まえ、「脱炭素」が現時点で明確な再エネ事業の確保を重視し、再エネ事業を巡る合従連衡がすでに始まっている。https://rief-jp.org/ct5/135582

 国内石油元売り最大手のエネオスホールディングスが2022年1月、再エネ事業会社を米ゴールドマンサックス・グループなどから約1912億円で買収した。トヨタ自動車系の豊田通商も、傘下の再エネ大手ユーラスエナジーホールディングスを1850億円を投じて100%子会社化した。また今年2月にはソフトバンクグループの再エネ事業を手掛けるSBエナジーの株式85%を取得している。

  NTTは自らの通信事業の次世代展開のために、再エネ事業にも本格展開を目指している。日本最大のCO2排出企業であるJERAも、既存の化石燃料火力発電から、洋上風力等の内外での再エネ事業へのシフトを意識して展開している。

 NTTアノードエナジー代表取締役社長の岸本照之氏は「GPI の有する豊富な開発プロジェクトをJERA とともにサポートし、再エネ事業を拡大することで、NTT が新中期経営戦略で掲げる循環型社会の実現に貢献 していく」と述べている。

 JERAの代表取締役会長兼Global CEOの可児行夫氏は「GPI を通じて、NTTアノードエナジーと共同で国内の再エネ事業拡大に貢献するとと もに、洋上風力では、当社のグローバル戦略の一環としてシナジーを生み出していきたい。今後のNTTグループとの関係強化にも期待している」としている。

https://www.ntt-ae.co.jp/pdf/press20230518.pdf

https://www.jera.co.jp/news/information/20230518_1448

https://greenpower.co.jp/ourcompany/