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原子力規制委員会 原発の「想定活断層」の定義後退 消えた「40万年前」ルール (東京)

2013-01-31 00:42:16

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genshiryokukiseiinkailogo原発の設計で想定する活断層は、これまで通りの「十二万~十三万年前以降」に動いた断層なのか、より厳しい「四十万年前以降」なのか-。地震や津波に対する原発の新しい安全基準を検討してきた原子力規制委の専門家チームは、二十九日の会合で骨子案を決めたものの、活断層の定義という重要な部分で結論を積み残した。 (大野孝志)


 規制委は、活断層は「四十万年前以降の活動が否定できない断層」と定義し、危うい断層を見逃さない姿勢を強く示す考えで、今回の骨子案でも明記される見通しだった。




 ところが、出てきた案は、基本的には従来通りの「十二万~十三万年前」のまま。上の新しい地層が残っておらず、過去の断層活動がはっきりしない場合に限り「四十万年前以降までさかのぼって、地形や地質を調べる」とし、後退とも受け取れる内容だった。




 この日の会合で、名古屋大学の鈴木康弘教授(変動地形学)がこの問題を取り上げ「四十万年前以降と明記するべきだ。不明確なままでは、こじれる。結論を出してほしい」と求めた。これまで電力会社は、比較的新しい地層だけを調べ、動いた証拠がないから活断層はない-と主張するケースが多く、断層が動く可能性を完全に否定できない調査に終止符を打とうとする発言だった。




 これに対し、規制委の島崎邦彦委員長代理は「基本的には、断層が長い間隔で繰り返し動くことはない。十二万年前以降に動いていなければ、四十万年前まで動いていないと考えていい」と一般論で応じた。今後つくるマニュアルに、活断層の判断や調査方法を具体的に書くという折衷案で幕引きを図った。




 決まった骨子案は、活断層の上に原発の重要施設があることを明確に禁じ、津波に対しては防潮壁や頑丈な水密扉で建屋を守るよう電力会社に求める内容。七月までに新しい安全基準となるが、肝心の活断層の定義があやふやなままでは、例えば、二十万年前に動いた断層が見つかった場合はどうするのかなど原発の安全性の議論に火種を残したともいえる。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013013002000125.html