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脱原発は時期尚早、将来の見極め必要=自称、環境専門家の崎田裕子氏(Reuters) 

2013-03-18 07:28:34

自称、環境専門家の崎田裕子氏
自称、環境専門家の崎田裕子氏
自称、環境専門家の崎田裕子氏


[東京 15日 ロイター] 安倍政権のもとでエネルギー政策の見直しを審議する「総合資源エネルギー調査会総合部会」に参加する崎田裕子氏は、ロイターのインタビューで、将来の原子力発電のあり方について、前政権が掲げた脱原発方針は時期尚早だと指摘した。

環境カウンセラーの同氏は、原発依存脱却は必要だとしながらも、「10年後などある程度の期間が経過したら、日本全体でエネルギーが成り立つのか議論しないといけない時期が来る」と述べ、原発ゼロの是非に関する判断にはなお見極めが必要との考えを示した。

インタビューの主な内容は次の通り。

──仕切り直しとなるエネルギー政策議論の審議会では、2030年原発ゼロを主張した委員の多くが入っていない。安倍政権の色が出ている印象だ。

「前政権で(脱原発の)方針を出したが、その後、社会的にはいろいろな意見が巻き起こった。新政権がメンバーを変えて検討すると聞いたときに、また声をかけてほしいと思った。民主党政権の方針が出たが、その方針でエネルギー基本計画をどう見直すのかというのはまだ作っていないので、最後まで関わりたいと思った」

──2030年時点の原発依存度15%を主張していた。原発ゼロには否定的か。

「(原発ゼロに否定的かどうかは)私はそうだ。(現行の)エネルギー基本計画は地球温暖化対策を重視し、(30年時点で)原子力50%、再生可能エネルギー20%の(CO2を排出しない)ゼロエミッション電源が70%としていた。温暖化と効率性からそれが必要とその時は思った。ただ、事故を踏まえて原発は安全性を担保しなければいけない電源だとわかったので、原子力依存からは脱していくことは必要だと思った。」

──依存度低減をどう担保するのか。

「安全には真摯に取り組まないといけない。40年運転制限で、(既存の原発を)減らしていくのは大事だと思っている。それを続けて2030年代くらいには(原発稼働が)ゼロになると民主党政権が主張したが、10年といった一定の期間が経過したら、日本全体でエネルギー(確保)ができるのかと議論しないといけない時がくると思っている」

──原発の新増設に対する考えは。

「みんなで考えるべきだ。40年廃炉で安全基準を厳しくすればどんどん減る。それで本当にゼロになってしまったときに日本がやっていけるような再生可能エネルギーの開発だとか、廃炉技術を担保していけるのか総合的に考えて、途中の段階で決心が必要なのかどうかはもうすこし考えないとわからない」

──どのような考えでエネルギー政策見直し議論に臨むか。

「エネルギーは国の重要な基盤なので、現実を見据えた上で、できるだけみながよいと思える将来に近づける議論をしたい。50年には人口はすごく減っている使用のエネルギー量は下がるかもしれない。それと再生可能エネルギーが地域を中心に普及すれば各地域に活力が出て、エネルギー自給率が高まる姿が描けていけば、必要な大規模電源も少なくてすむ。そうした姿を描いていくことが大事」

──地域で再生可能エネルギーを進めていることの具体例は。

「長野県飯田市では、太陽光パネルを公共施設の上に置いて出資を多くの人から募る『おひさまファンド』がある。パネルを自宅に乗せられる人だけではなくて、多くの思いがある人のおカネを集める仕組みが必要だ。小水力発電を地域で広めようとしているのが山梨県都留市。市役所の6割くらいは小水力発電で賄っていて、見学者がくるような評判だ」

(インタビューアー:浜田健太郎、前田りさ、インタビューは13日)

(ロイターニュース、浜田健太郎)

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPTYE92E05620130315?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0