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汚染水処理急場しのぎ 飽和状態は時間の問題 福島第1原発漏えい(河北新報)

2013-04-18 13:01:18

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fukuhshimaJN_I130407000063_20130407203830_C福島第1原発の放射能汚染水漏えい問題で、東京電力の汚染水処理計画が破綻寸前に追い込まれている。水漏れの起きた地下貯水槽から地上貯水タンクに汚染水を移す作業を始めたが、地下水の流入で汚染水は増え続ける一方。タンクを増設して容量を増やす考えだが、将来的に飽和状態を迎えるのは確実で、急場しのぎの策にとどまっている。

<貯水槽の使用中止>
 移送対象は1~3、6号貯水槽に保管される計約2万3000トン。漏えい問題を受け、東電は貯水槽を今後使用しない方針を示し、全量をタンクに移す。移送は16日に始まり、6月中の完了を見込んでいる。

 
 既存タンクの空き容量は約2万9000トンで、貯水槽の水を移せば余裕はあと約6000トン。構内では地下水が原子炉建屋に流れ込み、原子炉冷却水と混じって1日約400トンの汚染水が発生している。タンクの数が現状のままなら15日間でいっぱいになる計算だ。

 

 

 東電はタンクを増やしてしのぐ考え。試算では貯水槽の水の移送完了までに3度、空き容量が切迫する。6月上旬には空きが3600トンまで減ると予想され、トラブルが起きれば処理計画は行き詰まる。
 汚染水は放射性セシウムを取り除いた水。東電は試運転中の「多核種除去設備(ALPS)」を本格稼働させ、汚染水から62の放射性物質を除去するとしているが、トリチウムは残り、完全浄化はできない。

<海洋放出に現実味>
 地下水の流入量を減らすバイパス整備も進めている。だが、減らせる量は1日100トンで決め手にならない。
 東電は2015年9月までに70万トンのタンクを増設して貯蔵量を確保する方針だが、汚染水の最終的な行き場はなく、敷地内にたまり続ける。将来的に海洋放出が現実味を帯びるものの、地元漁業者の反発が強く、実現は難しい。広瀬直己社長は17日、福島県楢葉町の福島本社で記者会見し、「汚染水は海に出さないよう努力する。タンクを造り続けて水を保管し、その間にトリチウムを取り除く対策を考える」と述べた。

◎エネ庁連携「住民の望み」 独立性維持を強調

 

 福島第1原発の地下貯水槽から高濃度汚染水が漏れた問題で、原子力規制委員会・原子力規制庁と経済産業省・資源エネルギー庁が連携を強めていることについて、規制委の田中俊一委員長は17日の記者会見で「政府一体の取り組みを住民は望んでいる」と述べた。

 
 両者は規制庁の池田克彦長官とエネ庁の高原一郎長官が11日に初会談したのを契機に、政府の廃炉対策推進会議への田中委員長の参画や両庁審議官の定期的な意見交換などを決めた。

 
 第1原発事故の反省で分離された原発の規制と推進の再接近を懸念する質問に、田中委員長は「問題が起きてから対応する『モグラたたき』では廃炉は進まず、規制側も現実的な対応が必要だ。独立性が保たれなくなるとは考えていない」と強調した。

 
 田中委員長はまた、青森県六ケ所村の使用済み燃料再処理施設の新規制基準で、対策を義務付けることにした重大事故の範囲について、「化学溶液の外部漏えいが心配だ。臨界事故の可能性は否定しないが、施設は多重制御されており、外部被害が生じない瞬間的な事故にとどまると思う」と述べた。

 

http://www.kahoku.co.jp/news/2013/04/20130418t63007.htm