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経産省、「環境にやさしい電力」との宣伝禁じる「再生エネ電力制限省令案」を修正の方向 自民党内などからの批判受け(各紙)

2015-07-03 12:54:01

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各紙の報道によると、経済産業省は電力小売り自由化で、小売業務に参入する事業者が再生エネルギー発電の電力を販売する際、「環境にやさしい電力」等の表現を使ってはいけない、と制限する省令案をまとめていたが、自民党議員を含む多方面から批判を受けたことから、省令案を修正する方向という。この問題については、本サイトの「環境金融ブログ」でも、強く批判している。

 

 波紋を呼んでいたのは、経産省がまとめた「小売電気事業の登録の申請等に関する省令案」。電力自由化後の再エネ発電を強いれて消費者に販売する小売事業者について「再生エネによる電力が環境への負荷の低減に資するものである旨を説明してはならない」との条文が設けた。

 

 経産省は、再生エネは固定価格買い取り制度(FIT)で国が導入を支援しているため企業が独自に「環境にやさしい」「グリーン電力」などのうたい文句をつけるのは適切でない、としていた。しかし、今月1日までの同案に対するパブリックコメント(意見公募)では、日本弁護士連合会や自民党などから批判が続出したため方針を転換した。

 

 これに対しパブリックコメントでは異論が相次いだ。日本弁護士連合会は「再生エネが公的な支援を受けているという明確な説明を義務付ければ解決できる」と指摘した上で「電力の環境への影響についての情報は消費者の選択において極めて重要」とし、表記を認めるよう要求した。また自民党内でも同じ意見が出たという。

 

 ただ、省令案にはまだ別の問題がある。同案では、電力会社が商品となる電力の構成を消費者に説明する義務が定められていない。ドイツなどの多くの欧州諸国では、「○%は再生可能エネルギー、○%は火力、○%は原発」という説明が義務付けられている。

 

 商品の原料が何か、その構成比率は何%か、というのは一般の食品等で消費者が一番気にする点でもある。「食品の安全性」は添加物や原料の有害性の有無がわかる情報がないと、売り手が「安全です」というだけでは誰も信用しない。

 

「電力の安全性」も同様で、原発を危険だと思う消費者に、原発の電力が入っているのかいないのか、入っているとすればどれくらいの割合か、という情報を提供しないで売り手が「安全」を繰り返しても、電気は売れない。そうなると自由化の意味自体が減じられてしまう。

 

 パブリックコメントでは「消費者の重要な判断材料なので表示を義務付けるべきだ」との異論が相次いだという。自民党でこの問題を議論してきた再生可能エネルギー普及拡大委員会事務局長の秋本真利衆院議員も「今の省令案のままでは、原発の電力を大量に仕入れても隠せてしまう」と、見直しを求めている。

 

参考記事 http://rief-jp.org/blog/53028?ctid=33

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015070302000141.html