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マツダと大阪市大、人工光合成でエタノール合成に成功 太陽光とCO2で無制限にエネルギー製造へ(FGW)

2015-07-11 20:46:12

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マツダと大阪市立大学複合先端研究機構人工光合成研究センターの天尾豊教授らのグループは、光エネルギーを使った液体燃料のエタノールの合成に成功した、と発表した。人工光合成は光エネルギーを使って水素などの燃料を生み出す技術だが、従来はエタノールの製造は難しかった。この語、自動車燃料生産に新しい道を開く成果だという。

 

 開発の詳細はオランダ科学誌アプライド・カタリシスB・エンバイロメンタル(電子版)に掲載した。地球温暖化の加速を抑制するため、再エネや、省エネ技術開発が進められているが、人工光合成は、温暖化の要因である二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを原料として有効利用するエネルギー変換システムの開発を目指している。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0926337315300096

 研究チームは人が酒を飲むと、体内でエタノールを安全な酢酸に分解する酵素反応に着目し、太陽光のエネルギーを使って酵素に逆の反応を起こさせた。酢酸と酵素、太陽光を受け取るアンテナ分子などを水に溶かして光を2時間半(150分)当てると、酢酸の約5%がエタノールに変わった。酢酸からエタノールを合成できる人工光合成技術の成功報告はこれまでに例がない。

 

 光エネルギーを化学エネルギーに変える変換効率は約0.1%で、今後は幅広い波長の光を使って効率を高める工夫に取り組む。酢酸は二酸化炭素と天然ガス由来のメタンを原料に、微生物を使って生産することを目指す。

 

 これまで人工光合成技術を用いたCO2の分子変換技術は、生成物がCOや、ギ酸、メタノールなど炭素数が1のものに限られていたが、今回の技術が確立すると太陽光とCO2からエタノールを作り出すことができるようになり、ほぼ無制限にバイオエタノールを創り出すことができる。日本がエネルギー自給の道を開くことが可能になる。

 

 実用化のめどはエネルギー変換効率10%とされ、今回の成果の約100倍の効率化が求められる。

http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2015/x6w0pm