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岩手県、一斉公表の方針 津波浸水シミュレーション(岩手日報)

2011-12-15 13:26:01

県は、東日本大震災で被災した沿岸12市町村の津波浸水シミュレーション結果を一斉公表する方針を決めた。早ければ週内にも県のホームページ(HP)に掲載する。県は市町村の復興計画策定への影響を考慮し非公表としてきたが、策定作業が一定の段階に達したと判断した。ただ、本来は同計画策定時に必要なデータ。公表が遅れたことで議論の過程で安全性の根拠となる情報が住民に十分示されたとは言えず、対応が問われそうだ。

 公表するのは、県内の主要海岸について実施したシミュレーションの最終版。防潮堤がある状態で地域ごとに過去最大級の津波が発生した場合の浸水範囲を、地図上に色分けして表示している。

 実際より1メートル高い潮位で計算したデータのほか、実際の潮位で計算した5地域のシミュレーション結果も公表する。

 県はこれまで、「市町村の復興計画策定作業に影響を及ぼす可能性がある」として結果を非公表としていた。大槌町が13日に計画の最終案を示すなど、各市町村で策定作業が一定の段階に達したとの判断から、一斉公表を決めた。

 県は14日までに各市町村に対し、シミュレーション結果を開示する方針を説明。同じく非公表としてきた県津波防災技術専門委員会の資料と合わせ、早ければ週内にも県のHPで公表する。

 県は市町村が公表することは容認していたが、11月末時点で8市町村が非公表。陸前高田市など浸水域への住宅再建を計画する市町村では、住民から「安全性の根拠が十分に示されていない」と不安の声も上がっていた。

 戸羽太陸前高田市長は「県に対し公表したいという話をずっとしてきた。現在開会中の市議会に復興計画案を上程しており、議会での議論の前提となるシミュレーションが公開されないと困る」と早急な公表を望む。

 県河川課の松本中総括課長は「市町村からの要請もあり、まちづくりの原案となる復興計画がまとまるまで積極的に公表できなかった。県民の声も高まっており、可能な限り早く公表し、住民と市町村が具体的な議論を進める中で参考としてほしい」としている。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20111215_2