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世界の廃棄プラスチックのブランド調査、2022年のトップ企業は5年連続でコカ・コーラ。同社はCOP27のスポンサーも務める。NGOは「世界プラスチック条約」制定を呼びかけ(RIEF)

2022-11-26 00:15:39

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  国際的な脱プラスチック汚染活動を展開しているNGOネットワークの「Break Free from Plastic(BFFP)」は、世界各地で広がる廃棄プラスチック汚染の主要な廃棄ブランド調査を実施、もっとも廃プラゴミが多いブランドは米コカ・コーラだったと発表した。以下、ペプシコ、ネスレ、ユニリーバと、世界的なブランド企業のプラスチック容器等が廃プラの要因になっていることが浮き彫りになった。コカ・コーラは5年連続の1位の「汚染企業」の汚名を得た。

 

 グリーンピースなどの環境NGOらも参加するBFFPの「プラスチック汚染企業調査」は、2018年以来、世界各地のボランティアが海や川でごみを拾い、どのブランドの廃棄物が多いかをグローバルベースで毎年、調べている。2022年は、年間調査に加えて、過去5年分のごみ収集データも分析した。その結果、現在、汚染の原因企業が自主的に廃棄容器等を回収する等の取り組みを行っているが、そうした対応では、環境破壊を食い止めることができないことも明らかになったとしている。

 

 2022年の「プラスチック汚染企業」トップとなったコカ・コーラの年間プラスチック生産量は298万1421㌧。CO2換算で1500万㌧。2位のペプシコは年間生産量230万㌧、CO2換算1150万㌧。3位のネスレは年間生産量152万4000㌧、CO2換算760万㌧。これら3社のプラ容器包装の量を合計すると約700万㌧になり、日本のすべての(使い捨て容器包装以外も含めた)廃プラゴミの年間総量(850万㌧)にほぼ相当する。

 

世界中のボランティアによる廃プラゴミ調査
世界中のボランティアによる廃プラゴミ調査

 

 今年の調査で、コカ・コーラ社製の廃プラゴミは、世界中で3万1000点以上が見つかった。調査を始めた2018年に見つかった同社の廃プラゴミの倍に増加したとしている。廃プラは減るどころか、増えていることを示している。

 

 過去5年間のすべての期間においても、コカ・コーラ社の商品が最も多くの場所を、最も多くの廃プラゴミで汚染していることがわかっている。同社は先にエジプトで開いた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)とスポンサー契約を結んでおり、BFFPは、廃プラゴミトップ企業をスポンサーに選んだ国連の対応についても問題視している。

 

 2位のペプシコも、2018年以降、常に5位以内に登場している廃プラゴミ企業の常連だ。ペプシコは、2030年までにバージンプラスチック(新たなプラスチック)の使用量を半減させるという新たな自主公約を発表している。だが、BFFPは、単にプラスチックの使用量を減らすだけでは不十分で、再使用可能なリユース容器へ切り替えない限り、廃プラゴミは減らないと批判している。

 

 現在、年間のプラスチック生産量は3億6700万㌧(2020年)とされる。この生産量は2018年から800万㌧増えている。このままのテンポでプラスチックの増産が続けば、今後10年ほどで生産量は現状の倍に拡大し、さらに2050年までには3倍に増大するという。廃プラ対策が現状レベルのままだと、廃プラ汚染の影響は極めて深刻になり、取り返しのつかない影響を自然環境、生態系、そして人体等にも及ぼす懸念がある。

 

 気候変動への影響も見逃せない。世界全体のプラスチックの生産から使用、廃棄等の過程で発生するCO2排出量は、国別の主要排出量の多い、中国、米国、インド、ロシアに次いで5番目に匹敵する。気候変動対応の視点からも、国別のCO2排出削減だけでなく、各国が共通の発生源となっている廃プラゴミの削減も進める必要性があることになる。

 

 生態系、海洋環境等への影響はすでに深刻度を増している。人間が生活環境で廃棄したプラスチックは最終的には河川を経て、海洋等に流れ込む。現状でも、地球全体でみると、海には毎分、トラック約1台分のプラゴミが流れ込んでいるとされ、海洋汚染は年々、深刻になっている。

 

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 海に流れ込んだ廃プラゴミは、ほとんどが分解されずに、細かく砕かれ、さらに微細になって、海洋を漂い、海洋環境全体に残留する。そのうち94%は海底に堆積し、1%が海面を漂い続け、5%が海辺に流れつくとされる。現在、世界中の海洋には、5兆個のプラスチック片が存在する。

 

 こうした深刻な実態から、世界中の環境活動家は、企業が生産するプラスチックと使用するプラスチックの両方を効果的に削減するため、法的拘束力のある政策によって抑制する条約を設ける必要性を強調している。今月28日から南米のウルグアイで、世界各国の代表が集まり、条約交渉についての話し合いを持つ予定だ。世界全体でプラスチックの生産と使用の制限に向けた合意が為されるかどうかが注目される。

 

https://www.breakfreefromplastic.org/2022/11/15/the-coca-cola-company-named-worst-plastic-polluter-for-five-years-in-a-row-brand-audit-2022-report/

https://www.greenpeace.org/japan/nature/story/2022/11/22/60207/