愛知万博で「守った」はずのオオタカの営巣の森、いつの間にか大規模に伐採され、太陽光発電設備に。行政の中止勧告を無視。行政側も監視の目届かず(各紙)
2016-03-14 01:42:15
各紙の報道によると、2005年に開いた愛知万博の際、オオタカの営巣が確認されたため、あえて会場計画を大幅縮小して自然を守った愛知県瀬戸市の「海上(かいしょ)の森」で、“無許可”の太陽光発電施設が隣地に建設され、問題化している。
瀬戸市の説明によると、太陽発電施設を建設したのは名古屋市の建設業者という。2013年1月に、「海上の森」の隣地の民有地で、既設の資材置き場2カ所を含む5ha強の森林を伐採して、発電施設を造る計画を市に提出した。
市は同年7月、「万博の理念を継承するエリアにふさわしくない」という判断と、民有地の下流には湿地や県の自然環境保全地域があり、森全体も県によって保全のための条例が定められていることなどから、市土地利用調整条例に基づき、業者には建設中止を勧告した、としている。
しかし、その後、いつの間にか開発が進行、市民の指摘で、市は今月になって気づいた。市は10日に現場を確認した。「事実関係を把握し早急に立ち入り調査する」としている。
現場は「海上の森」の北東端に接する民有地。2013年以前にあったヒノキやスギの林が幅約100m、奥行き約200m以上にわたって切り開かれている。開発された土地には、砂利を敷き詰めて整地した斜面に太陽光パネルが並べられている。
一帯は市街化調整区域に指定されており、条例では1000㎡以上の開発計画には市と事前協議が必要で、違反した場合は中止命令や罰金(最大30万円)を科すことができる。
森林法でも1ha以上の山林開発は規制される。しかし、愛知県の担当部局は「業者から相談はなく、知らなかった」としている。ただ、森にある「県あいち海上の森センター」は、計画段階で市から連絡を受け、その後の開発も森の巡視で把握していたとしているが、建設そのものについては止めず、「土砂流出などで県有地への影響がないことを確認していた」だけだった、と報道されている。
海上の森は愛知万博のメイン会場予定地だったが、オオタカの営巣確認などで貴重動植物への影響を懸念する声が高まり、国際的な万博のイメージダウンになるリスクもあったため、愛知県は会場を変更し跡地で予定していた住宅団地構想も撤回した。
近くの沢の水は海上の森へ流れ、下流には湿地や県の自然環境保全地域がある。また、県は森全体を保全するため万博翌年の06年に条例を定めている。