HOME13 原発 |ドイツ連立政権の自由民主党党首で財務相のリントナー氏。「脱原発の延期は一時的な措置。長期的にはドイツは別のエネルギー源(再エネ)を選択した」と指摘。脱原発政策維持を表明(RIEF) |

ドイツ連立政権の自由民主党党首で財務相のリントナー氏。「脱原発の延期は一時的な措置。長期的にはドイツは別のエネルギー源(再エネ)を選択した」と指摘。脱原発政策維持を表明(RIEF)

2022-10-27 15:43:35

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  ドイツの連立政権を構成する自由民主党(FDP)の党首であり、財務相であるクリスティアン・ヴォルフガング・リントナー氏は、日本経済新聞のインタビューに答えて、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー逼迫対策で、年内に予定していた脱原発政策の完了を延長したことに触れ、「(エネルギー)危機だから原発を予定より長く使う。しかし長期的にみればドイツは別のエネルギー源を選択した。ドイツ議会では脱原発をやめるという政治家は多数派ではない」と述べ、脱原発政策の放棄を否定した。

 FDPは産業支援を重視しており、日本の自由民主党(LDP)と政策スタンスは似通う。今回のドイツ連立政権内でのエネルギー政策の修正をめぐる議論でも、脱原発に固執するグリーン党との間で激しい対立があったとされる。

 しかし、同氏の今回の説明は、政権内の対立はあくまでも、現在のエネルギー危機に対処する一時的な対応をめぐるもので、脱原発政策そのものの成否をめぐるものではないことを示した形だ。

 インタビューでは「2024年まで原発の稼働期間を延長することに賛成ですか。なぜもっと長くしないのですか。ドイツは原発を新設すべきでしょうか」との質問に対して、同氏は「(エネルギー)危機だから原発を予定より長く使う。しかし、長期的にみればドイツは別のエネルギー源を選択した。ドイツ議会では脱原発をやめるという政治家は多数派ではない」とした。

 「脱原発の堅持は、あなた個人の信念なのか、それとも党首として(連立相手のグリーン党などに示す)妥協案なのか」との問いに対しては、「いまの技術力では、原子力はドイツにとって将来にわたる選択肢ではないというのが個人、そして党首としての信念だ。市場経済を信奉する立場としては、(原発の運転リスクなどを)引き受ける民間の保険会社が見つからないというのが問題だ。最終的には国家が責任を負わなければならない。この技術は長期的に責任を負えないものかもしれない」

 ドイツの脱原発政策は、2011年3月11日に起きた日本で東京電力福島第一原発事故を受けて、当時のメルケル政権が国内の原発の廃止を決め、その後も同政策が堅持されている。事故を起こした日本では、原発の再稼働が進んでいないが、岸田文雄政権は、脱炭素政策を名目として、再稼働だけでなく、原発の新設も含めた「新原発政策」の展開を宣言している。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR267O10W2A021C2000000/?n_cid=SPTMG002