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福島第1原発事故:2、3号機「悪化防げた」−−ヤツコ米NRC前委員長(毎日)

2014-03-20 07:45:32

グレゴリー・ヤツコ氏
グレゴリー・ヤツコ氏
グレゴリー・ヤツコ氏


米原子力規制委員会(NRC)委員長を2012年まで務め、東京電力福島第1原発事故の対応に当たったグレゴリー・ヤツコ氏が毎日新聞のインタビューに応じ、炉心溶融(メルトダウン)した2、3号機の対応について「できることはあったはずだ」と述べ、溶融を回避できた可能性があるとの見解を示した。

−−東電は「事故は想定外」としている。

◆全電源喪失の対策は十分研究されていたし想定できた。水素が発生した場合の対策についても研究されていたが、それが不十分で水素爆発を招いた。1号機は直後から大きなダメージを受けたが、2、3号機は数日かけて悪化した。その間、できることはあったはずだ。

−−米政府が出した、半径50マイル(約80キロ)の避難勧告は適切だったか。

◆合理的で正確な判断だった。だが、振り返ってみれば間違っていた。大きすぎた。30〜40マイル(約48〜64キロ)程度が妥当だった。

−−米国では同時多発テロを受け、原発テロへの備えを強化する安全対策(通称B5b)が整ったが、これがあれば事故は回避できたか。

◆米国では、冷却水源を原子炉建屋から離れた場所に設置するよう求めているが、津波でそれらも破壊されただろう。我々のテロ対策をもってしても福島原発は救えなかっただろう。

−−日本では1カ所に複数の原子炉が立地する「集中立地」の問題が指摘されている。

◆(事故対応のためにも)できれば集中は解消すべきだ。しかし日本は土地が狭く、解決策はないだろう。

−−日本では原発事故時の避難計画整備が遅れている。

◆米国では避難計画がなければ原発の運転許可は下りない。未整備のまま再稼働議論が進むことに驚きを禁じ得ない。

−−日本の原子力規制委員会への注文を。

◆電力会社からの独立は重要だが、孤立すべきではない。電力会社だけでなく一般市民や政府ともっとコミュニケーションを図り、電力会社とのネガティブな関係を解消すべきだ。【聞き手・中西拓司】

 

http://mainichi.jp/shimen/news/20140320ddm013040013000c.html