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原発重大事故時の30km圏内住民の避難時間 鹿児島・川内原発28時間45分、島根原発32時間45分 これで本当に逃げられる?(FGW)

2014-05-30 18:43:31

鹿児島・川内原発の30km圏
鹿児島・川内原発の30km圏
鹿児島・川内原発の30km圏


再稼働を急ぐ各地の原子力発電所だが、重大事故時の住民の避難体制が十分に確保できないことが明らかになった。”再稼働一号機”候補とされる鹿児島県薩摩川内市にある九州電力川内(せんだい)原発の場合、県の推計で、半径30km圏の住民が避難するには最長28時間45分かかることがわかった。島根、鳥取両県も、中国電力島根原発(松江市)で推計したところ最長32時間45分となった。

 

これらの推計は、あくまでもシミュレーションで、実際に起きる事故の動向、混乱の状況によって変動が起きることが予想されることから、推計可能な範囲という位置づけとなる。本来はこうしたシミュレーションに一定の危険率を見込む必要があるが、鹿児島県の推計にはそうした対応はないように思える。

 

鹿児島県の試算は川内原発の重大事故で、住民が自家用車で避難することを前提とした推計。半径30km圏の住民約21万人のうち、9割が圏外に出るまでに、最長で28時間45分、最短で9時間15分かかるとした。最長の場合は、南九州自動車道が使えないという前提。最短は、幹線道路の渋滞地点で交通誘導が実施されるという条件による。


これらの推計から同県は、国の原子力災害対策指針の目安が「避難指示が24時間以内に30km圏外に出る」であることから、「おおむね守られる」(県危機管理局)と評価している。





 ただ、県の推計は「5km圏の住民約5000人の避難を優先しようとしたが、5~30km圏の住民の4割が自主避難を始めてしまった」とのシナリオを基本としている。全住民が一斉に自主避難するパニック状態は想定していない。また、道路が想定通り使用できるかどうかも不明。さらに市町別の避難時間も出しておらず、専門家の間からは、「結論ありきで、実効性には疑問が残る」との指摘も出ている。


 


一方、島根、鳥取両県は30日、松江市にある中国電力島根原発での重大事故を前提とした推計を行った。原発から30km圏の両県の住民約47万人が計画に基づき圏外に避難するまで最長32時間45分必要だとする推計をはじいた。この日開かれた自治体担当者が参加する原子力防災連絡会議で発表した。

島根原発の30km圏
島根原発の30km圏


 


両県の推計では、自家用車最大約19万台とバス450台を移動手段として想定。初詣や冬季などの状況を設定し、自治体の指示で原発に近い地域から段階的に避難した場合に、30km圏の住民約9割の避難が終わるまでの時間を試算した。鹿児島県の試算より、慎重な推計といえるが、この場合も、最悪の事態がどうなるかという危険率を見込んでいない。