HOME |宮城・加美町長、国の指定廃棄物処分場建設問題で 「国によるデータ改ざん」を指摘 反対姿勢強調(河北新報) |

宮城・加美町長、国の指定廃棄物処分場建設問題で 「国によるデータ改ざん」を指摘 反対姿勢強調(河北新報)

2014-06-18 11:08:51

記者会見で、前日の5者協議での主張をあらためて説明する猪股町長=17日、加美町役場
記者会見で、前日の5者協議での主張をあらためて説明する猪股町長=17日、加美町役場
記者会見で、前日の5者協議での主張をあらためて説明する猪股町長=17日、加美町役場


福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、国が選定した宮城県内3カ所の候補地の一つ、宮城県加美町の猪股洋文町長の強硬姿勢が際立つ。

 

国による詳細調査受け入れを一貫して拒否し、条件付きで認める宮城県栗原市、宮城県大和町と一線を画す。国と県、3市町による5者協議が回を重ねるにつれ、発言は鋭さを増してきた。

「加美町長だけ強硬と言われるが、なぜ私が強硬になるのか話したい」。17日、町役場であった記者会見で猪股町長はこう切り出した。公の場で自らを「強硬」と表現するのは初めてのことだ。

 
伏線があった。前日の16日に開かれた5者協議第3回会合。猪股町長は国が候補地選定の根拠とした資料をかざし、「30度以上の勾配をわざと見えなくしている。データの改ざん、偽造だ」と、これまでになく猛抗議した。

 
発言を受け、井上信治環境副大臣は「偽造はしていない。穏当な表現ではない」と不快感をあらわにした。
猪股町長は、5月末に始まった5者協議で国のデータの矛盾点を繰り返し指摘。「選定に誤りがあり、そもそも候補地になり得ない。国は強引だ。当然調査を受け入れる必要はなく、候補地を白紙撤回すべきだ」と主張してきた。

 
一方、栗原、大和両市町は「詳細調査で不適地であると証明する」(佐藤勇栗原市長)と、3市町が足並みをそろえることを条件に早期受け入れを表明。溝は深まる一方だが、猪股町長は「調査を受け入れた上で建設反対とは、理解できない」と意に介さない。

 
背景には複雑な町政事情がある。猪股町長が初当選した2011年8月の町長選以降、争点となった町役場新庁舎建設をめぐり、町議会は真っ二つ。勢力が拮抗(きっこう)し、薄氷の町政運営が続く。

 
13日閉会した町議会6月定例会で象徴的な場面があった。議員の一人が詳細調査受け入れを促しながら、猪股町長に「大人の対応を」と迫った。

 
猪股町長の任期満了は来年夏に迫る。「国に対する決然とした態度には、厳しい政治状況が影響している」とみる町民は多い。

 
「処分場建設問題と選挙は全く別問題だ」。猪股町長はこう強調する。

 
「町民の暮らしを守り、次世代につなげるには処分場を建設させてはいけない。政争の具にもしてはならない」

 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201406/20140618_11024.html