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福島県の放射能廃棄物中間貯蔵施設 「地上権」で30年賃貸借へ転換。 国は、交付金の「金目」は示さず(各紙)

2014-07-29 11:55:53

福島県全体に積みあがる除染放射性廃棄物のヤマ
福島県全体に積みあがる除染放射性廃棄物のヤマ
福島県全体に積みあがる除染放射性廃棄物のヤマ


東京電力福島第一原発事故に伴って、福島県内の除染で出た放射能汚染廃棄物を保管する中間貯蔵施設建設問題で、石原伸晃環境相と根本匠復興相は28日、佐藤雄平知事、建設候補地の大熊、双葉両町長らと都内で会談した。その結果、用地取得は当初の前面国有化ではなく、希望者には最長30年間の「地上権」を設定した賃貸借も認める方針を示した。

 

国は当初、全面国有化を目指していたが、その場合、中間処理施設が、将来は最終処分場に転用されるのではとの、住民からの強い不安が噴出していた。こうした住民不安を受け、あくまでも一時的な賃借であることも認める形での施設建設に転換することにした。
地上権の設定については、期間を施設の利用期間となる最長30年間を想定する。これにより、契約期間が満了すると、住民は所有権に基づいて、国に対して原状回復と返還を求めることができる。最終処分場化を阻止できることになる。
環境省によると、地上権の設定に伴う補償は住民に一括して支払う。ただ、地上権の補償額は、買い上げ価格を下回る見込み。

 

また国は、地域振興のための交付金について、中韓貯蔵施設の建設候補地のある大熊、双葉両町以外の関連自治体にも交付する方針を示した。除染廃棄物の施設への運搬作業によって長期間の影響が生じる恐れのある自治体を想定している。ただ、具体的な自治体の範囲や、交付金額は提示しなかった。このため、多額の交付を求める佐藤県知事は「国との認識に溝がある」と不快感を示し、明確な交付金額の提示を求めた。
これに対して、石原氏らは「中間貯蔵施設建設受け入れの是非の判断の時期までに提示する」と、明確な返答を避けた。
佐藤知事は会談終了後の記者会見で、「原子力災害は全県下に及ぶ災害とあらためて認識してほしい。(原子力政策を進めてきた)国が当事者意識を持って対応すべきだ」と、交付金範囲の拡大を求めた。

 
■政府が示した中間貯蔵施設に関する対応のポイント

一、極めて自由度の高い交付金創設。大熊、双葉両町分と県・その他市町村分を一体的に措置。金額は受け入れ是非の判断時期までに提示する。
一、町の復興に向けた基本的な考えを作成、復興の具体化を進める。
一、地上権設定で用地の賃貸借容認。
一、国の特殊会社「日本環境安全事業」の関連法を改正し、県外最終処分を明記。国と県・町で整備、稼働に関する協定を結ぶ。
一、県と町の受け入れ判断後、地権者向けの説明会で用地補償額のイメージを示す。
一、土地売却後も避難生活中は住民票維持を認める。

 

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