HOME |政府・東電 福島原発の廃炉工程見直し 使用済み燃料取り出し2年遅れ、溶融核燃料5年遅れ。手がつけられない”チェルノブイリ化”濃厚に(各紙) |

政府・東電 福島原発の廃炉工程見直し 使用済み燃料取り出し2年遅れ、溶融核燃料5年遅れ。手がつけられない”チェルノブイリ化”濃厚に(各紙)

2014-10-30 18:26:30

解体に向け作業が始まった福島第1原発1号機の原子炉建屋カバー=22日
解体に向け作業が始まった福島第1原発1号機の原子炉建屋カバー=22日
解体に向け作業が始まった福島第1原発1号機の原子炉建屋カバー=22日


各紙の報道によると、安部政権と東京電力は東電福島第一原発1号機の廃炉作業について、これまで計画した工程表から、使用済み核燃料の取り出しで2年、原子炉内に溶け落ちた核燃料の取り出しで5年遅れへ、それぞれ後づれさせる方針を固めた。

 

政府と東電の現在の廃炉計画では、使用済み燃料プールからの核燃料取り出しは、早ければ2017年前半、原子炉内で溶融した燃料の取り出しも2020年度としていた。これは東京オリンピック前に、使用済み燃料プールを処理し、オリンピック終了後に、最大の課題である原子炉処理に手をつける考えに基づくとみられていた。

 

しかし、今月から始まった1号機の建屋を覆うカバーの解体作業の段階で、すでに作業上のトラブルで工事が中断しているうえ、建屋の屋上等にあるガレキを飛散させずに除去する作業に藻想定以上の時間が必要とみられている。また建屋内の燃料プール、原子炉それぞれの核燃料を取り出すには、建屋内に新たにクレーンなどを設置して作業をすることになるが、高度の放射性物質があることから、その作業の見通しすら立っていないのが現状だ。

 

このため、政府・東電は、使用済み燃料プールからの取り出しを2年遅らせて2019年に、原子炉からの取り出しは5年遅れの2025年に先延ばしする方針という。しかし、これだと東京オリンピック開催中の2020年に使用済みプールからの取り出し作業が終了できるかどうか不明。仮に、作業が長引き、オリンピック開催にかかるようだと、国際的な不安を高める可能性もある。このためさらなる作業の遅れもありえる。

 

報道では、30~40年かかるとみられる廃炉作業全体の期間は変更しないとしている。旧ソ連のチェルノブイリ原発は原子炉爆発という異常な状態だったこともあるが、1986年の事故から四半世紀以上が経過した今も、廃炉作業に取り掛かることもできていない。

 

福島原発の場合、原子炉爆発はなかったものの、原子炉内で燃料が溶融しており、しかも、1機だけでなく、1号機~3号機が同様の状態とみられることから、取り出しの困難さという点では、変わらないとみられる。このため、本格的な廃炉作業の開始は東京オリンピック前には無理との見方も出ている。福島原発処理の「チェルノブイリ化」は避けられない公算が高まってきた。