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東電福島原発事故による指定廃棄物中間貯蔵施設 全国で行き詰まり。福島でも「安全性」がネックで、処理見通し立たず(河北新報)

2015-04-02 13:08:49

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shiteihaikibutu001東京電力福島第1原発事故に伴う除染廃棄物などを保管する中間貯蔵施設への試験搬入が3月、福島県でようやく始まった。一方、放射性物質を含む焼却灰など大量の「指定廃棄物」の処理は見通しが立っていない。

埋め立てて最終処分するため地元の懸念は根強く、候補地の富岡町では、宮城県内の候補地3カ所と同様、国との協議が難航している。(桐生薫子、吉田尚史)

 

指定廃棄物は、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレル以上10万ベクレル以下のごみ焼却灰や、稲わらなど農林業系副産物。宮城や栃木など12都県で計約15万7400トンあり、放射性物質汚染対処特措法に基づき各地で処分する。福島は最大の約12万9600トン。旧警戒区域(原発20キロ圏)で出た災害廃棄物など対策地域内廃棄物も埋め立てる。
宮城など5県には国が処分場を新設するが、福島では原発避難区域内の富岡町(避難指示解除準備区域)にある既存の民間管理型最終処分場フクシマエコテッククリーンセンターを転用する計画。国の受け入れ要請に対し、議論は平行線だ。
町議会は(1)候補地は低線量区域で住民帰還を妨げる(2)施設転用で安全面に不安がある-として、処分場新設や追加安全対策を要求。環境省は2月中旬、新たな構造補強対策を示したものの「高線量地区(帰還困難区域)への新設は困難」と回答したため、議会側はなお再検討を求めている。
同じ双葉郡の双葉、大熊両町に建設予定の中間貯蔵施設は、セシウム濃度1キログラム当たり10万ベクレル以上の焼却灰や除染廃棄物を保管するが、30年以内に県外で処分する。一方、指定廃棄物は中間貯蔵せず最終処分するため、周辺県と同様、施設の安全確保と地元理解が高いハードルとなっている。
全町避難が続く富岡町は2017年度以降に帰還を検討する予定。処分場計画は住民の判断にも影響を及ぼすとして、宮本皓一町長は町議会3月定例会でも「帰還意欲の低下や風評被害が懸念される。少なくとも施設の国有化や地域振興策が不可欠」と述べ、国の回答を求めている状況だ。

[指定廃棄物処分場の新設]福島第1原発事故で発生した指定廃棄物は各都県内で処理する。宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の5県は既存処分場の容量が足りず国が最終処分場を1カ所ずつ建設する。宮城では、環境省が栗原、大和、加美の3市町を候補地に選び、詳細調査を経て1カ所に絞り込む方針。昨秋、ボーリング調査に向けた準備作業を試みたが自治体や住民の反発で断念、先送りした。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150402_63017.html