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福島県「危機管理部」看板倒れ 放射線管理、火山緊急速報、土石流連絡等、不手際相次ぐ(河北新報)

2015-04-20 08:46:23

福島第1原発の幹部に情報公開の徹底を要請した県危機管理部の樵部長(左)=3日、東京電力福島第1原発
福島第1原発の幹部に情報公開の徹底を要請した県危機管理部の樵部長(左)=3日、東京電力福島第1原発
福島第1原発の幹部に情報公開の徹底を要請した県危機管理部の樵部長(左)=3日、東京電力福島第1原発


東京電力福島第1原発事故などを踏まえた危機対応強化のため、4月に「危機管理部」を発足させた福島県で、緊急時の情報発信をめぐる不手際が相次いでいる。

 

同部は、昨年11月に就任した内堀雅雄知事が組織改革の目玉として打ち出した。期待とは裏腹のお粗末な対応に、態勢の立て直しを求める声が強まっている。

 
「しっかりとした説明が県民との信頼構築につながる。情報公開意識を徹底してほしい」

 
汚染水が外洋に流出した問題などをめぐり、3日に第1原発を視察した樵(きこり)隆男・危機管理部長が東電側に呈した苦言が、ブーメランのように戻ってくる不手際が次々起きた。

 
県が1日、原発立地自治体周辺で試験運用を始めた放射線監視装置。線量が異常に高くなる不具合などが多発し、県民から問い合わせが寄せられたのに、訂正の広報など適切な対応を7日までしなかった。

 
柳津町の県道で起きた土石流をめぐっては、土木部から危機管理部への連絡が遅れ、記者発表は住民の通報から1日以上たった9日昼。土木部の担当者は「通行止めの手はずが整った段階で思考停止してしまった」と釈明した。

 
内堀知事は13日の定例記者会見で「危機を察知する職員の感度が低かった」と不備を認め、再発防止の徹底を庁内に指示した。

 
指揮官の叱咤(しった)にもかかわらず失態は翌14日にも。吾妻山(福島、山形県)の噴火に備えた訓練で、事前周知を行わずに緊急速報メールを配信。部内で情報共有していなかった上、一部電話会社の携帯電話には市域外にも誤送信した。

 
実害こそ出ていないが、放射線監視装置の不具合では、インターネット上で「福島で何かが起きている」と書き込まれるなど風評被害を助長する恐れもある。

 
福島大行政政策学類の佐々木康文准教授(災害情報論)は「原発事故や放射線に関し、国や県の情報発信や説明が不十分だと感じている住民が多数いる。危機管理部はその反省を踏まえた組織だったはず」と指摘。「一連の対応での情報入手や共有、公表の流れとスピードがどうだったか検証し、危機対応の専門部局としてレベルアップしてほしい」と話す。

[福島県危機管理部]危機対応を総合調整する危機管理課と、前年度まで生活環境部にあった消防保安課、災害対策課、原子力安全対策課、放射線監視室の職員で組織。大規模災害などが起きたときは、迅速な初動対応や一元的な情報収集のため、他部局の指揮監督にも当たる。

 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150419_61009.html