東電福島原発の除染廃棄物仮置き場 半数以上で保管袋やシートに破損 放射性物質の流出はみられないものの、劣化の加速懸念高まる。環境省調査で判明(FGW)
2015-06-15 22:29:43
環境省は、東京電力福島第一原発事故の除染廃棄物を保管する福島県内市町村の仮置き場を調査した結果、廃棄物が搬入された580か所のうち、半数以上の310か所で保管袋やシートの破損などの不具合が見つかったと発表した。
環境省はこうした不具合の影響として周辺土壌等への放射性物質の流出はなかったとしているが、廃棄物を入れている耐候性大型土のうなどの使用期間は3年程度としており、今後の劣化が懸念される。
環境省は有識者で構成する環境回復検討会で今回の調査結果を報告した。除染廃棄物の仮置き場は、地面に下部シートを敷き、その上に保護層を重ねて敷いた上に、廃棄物を詰め込んだ土のうを積み上げる。土のうには、耐候性大型土のうのほか、フレキシブルコンテナ(フレコン)と呼ばれる袋がある。
これらの袋を3~4段などに積み上げ、さらに上部には土のうの間の隙間を埋めるように遮蔽土のうを積む。そして全体を耐水性シートで包み込むパターンが一般的だ。
遮水シートに降り注ぐ雨等は、廃棄物の山を流れて周辺に落ちることから、山を取り囲むように集水タンクを設置、タンクに溜まる水の放射性量の監視を続ける。
遮水シートの耐久性は15年とされており、まだ劣化の段階には入っていないとされる。だが、今回の調査ではフレコンなどの袋や、ブルーシートの破損などが相次いで78か所で発見された。また遮水シートに生じた水たまりは150か所に及んだ。
国直轄の仮置き場でも、遮水シートでの水たまりや上部シートの損傷、遮蔽土のうでの雑草の繁殖などがみられた。
計算上のシートの耐候性はまだ問題はないとしても、自然界の中に長期間野ざらしで置かれることから、破損等のリスクは常につきまとう。またシートの寿命は保てても、袋の耐久性はより短じかいことから、台風や地震等によって積み上げた山がずれたりした場合、袋の破損リスクが高まる可能性がある。