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鹿児島・川内原発1号機、新基準下での初の再稼働に向け 核燃料を原子炉に装填作業開始 8月起動、9月営業再開のスケジュール(各紙)

2015-07-08 01:25:05

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 各紙の報道によると、九州電力は7日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉に核燃料を装填する作業を始めた。東京電力福島第1原発事故を受け施行された新規制基準に基づく全国で初の再稼働に大きく踏み出した。。九電は8月中旬に再稼働実施を目指している。

 

 九電のスケジュールでは、燃料の装填等に伴う検査で問題がない場合は、八月十日ごろに原子炉を起動させ、さらに十三日前後に実際の発電と送電を開始、9月中旬に営業運転する、としている。1号機が順調に進めば、同原発2号機についても十月中旬の再稼働を目指す。

 

 

 ただ今回の核燃料装填に際しては、地元内外での再稼働反対の声に十分に応えきれないままゴーサインを出したという印象が強く、反原発の声を逆に高める可能性もある。手順通りに手を打てば、周囲の反対の声があっても粛々と進める、という安倍政権の手法は、沖縄辺野古基地建設、安保法制等と相通じる点が少なくないといえる。

 

 九電によると、川内原発は加圧水型の原子炉で、事故を起こした福島第1原発の沸騰水型とは異なるタイプ。1号機は1984年、2号機は85年に営業運転を開始した。

 

 1号機に装填される核燃料は合計百五十七体。原子炉建屋に隣接する使用済み核燃料プールからクレーンで移動させて一本ずつ原子炉容器内に入れられる。これらの作業は全て水中で行い、終了までに四日程度を要する見通し。

 

川内原発再稼働に反対する地域住民
川内原発再稼働に反対する地域住民

 

 規制委は昨年九月、川内1、2号機が新規制基準に適合していることを認める「審査書」を決定した。作業が先行する1号機では今年三月に使用前検査が始まり、今月三日に核燃料の装填に必要な検査についても終わった。

 

 福島事故を教訓にした新規制基準は13年7月施行され、再稼働に向けた安全審査が申請されたのは川内を含め15原発25基に上る。再稼働までの審査期間は当初、半年程度とみられていたが長期化し、川内原発1、2号機の審査がすべて終了したのは申請から1年10カ月たった今年5月。

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 川内原発以外では目下、関電高浜原発3、4号機(福井県高浜町)が新規制基準に合格しており、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)も今月中旬に合格する見通しという。

 

 しかし、川内原発周辺には過去に巨大噴火した火山が集中するほか、避難計画の実効性など課題が山積しており、地元住民から懸念の声も出ている。

 

 今年五月には鹿児島県の口永良部島(くちのえらぶじま)新岳が突然、噴火したように、噴火予知は非常に難しい。巨大噴火の場合は、現代の科学による観測データがなく、どんな過程を経て噴火に至るかよく分かっていない。

 

 また装填された核燃料の使用後の対応も不十分のまま。使用済核燃料は高熱を発するため、二年間はプールの中で冷やさないと外部に運べない。しかし九電は、核燃料をどこにどう緊急搬出するか、いまだ十分に検討していないとされる。

 

 また鹿児島県や薩摩川内市は再稼働に同意したが、屋久島や種子島などで九電に説明を求める動きが広がっている。だが、九電は公の場で反対意見が出るのを避けるため、これらの地域では説明会を開こうとしていない。

 

 また避難計画も不十分なままだ。鹿児島県や周辺自治体の計画はできたが、避難住民の受け入れ態勢の協議などはほとんどされていない。計画に実効性があるのか、規制委自体も、その検証はしないままのゴーサインとなった。

 

http://www.kyuden.co.jp/press_150706-1.html