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不適正会計問題の東芝 原発事業にも難題 WH株 売れぬまま(東京)

2015-07-14 11:55:16

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 不適切会計問題に揺れる東芝が、今後心配される資金繰りに備え、子会社の米原発設備大手、ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)株式の一部売却を急いでいる。だが原発事業の新たなパートナー探しは二〇〇六年にWHを買収した当時から続けており、東日本大震災以降はさらに難航。専門家から「今どき買い手は見つかるのか」との指摘も出ている。 (伊藤弘喜)

 東芝は〇六年、約六千二百十億円でWHを買収。WH争奪を競った国内競合メーカーが「その半額でも高いのに」と驚くほど破格の高値だった。世界的に原発の需要が伸び続け、共同出資してくれる事業パートナーが順調に見つかる見込みで打った布石だった。

 ところが新たなパートナー探しは難航。東芝としては出資比率を過半程度まで下げ、WHの業績から受けるリスクを減らしたいところだが、比率は高止まりの状態が続いている。

 さらに一三年には、第二位株主だった米エンジニアリング大手のショー・グループからWH株20%の買い取りを求められ、約一千二百五十億円で取得せざるを得なかった。東芝の持ち株比率は67%から87%まで上がった。

 今回の不適切会計問題で巨額の損失を計上することになるとみられ、信用力の低下から市場での資金調達や取引銀行からの支援が困難になる。東芝にとって保有資産(株式)の現金化は急務となっている。

 出資先が現れない背景には近年、米国で安価なシェールガスの供給が拡大していることもある。その結果、液化天然ガス(LNG)がだぶつき、LNG相場が下落。その上に東京電力福島第一原発事故が起き、WHへの投資を呼び寄せるのは一層難しくなっている。

 東芝の広報は「出資してくれればどこでもいいわけではない。相乗効果が見込めるところを選ぶ」と説明している。だが、原発を含む電力・社会インフラ部門の一四年三月期の営業利益は事故前の約四割に減っている。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「原子力リスクが以前より増した中、経営に決定権を持たずに少数株主に収まってくれるような、虫のいい出資先は出てくるだろうか」と疑問を呈している。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015071402000129.html