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浄化地下水の海洋放出 福島県相馬双葉漁協が受け入れ 消費者の反応懸念。漁協は風評対策など要望へ(福島民報)

2015-07-28 15:08:13

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 福島県相馬双葉漁協は27日、東京電力福島第一原発の汚染水低減対策で建屋周辺の井戸「サブドレン」からくみ上げた地下水を浄化して海に放出する計画の受け入れを決めた。県内の漁協では初めて。今後はいわき市漁協の対応が焦点となる。県漁連は相馬双葉、いわき市の両漁協の判断が出そろった時点で組合長会議を開き、計画受け入れの是非を最終判断する方針。 



いわき市漁協対応焦点


 相馬双葉漁協は同日、相馬市で非公開の理事会を開き、意見を集約した。終了後、記者団の取材に応じた佐藤弘行組合長は、採決の結果、全会一致でサブドレン計画の受け入れを決めたと説明。「汚染水の発生を抑制できれば、漁業の復興につながる。漁業者としてできる協力をしたい」と語った。

 


 福島第一原発で汚染雨水が港湾外の海に流出するトラブルなどが相次ぎ、東電に対する漁業者の不信感が高まっていたが、「これまでの東電の再発防止の説明に納得したという意見が大勢を占めた」と述べた。

 


 ただ、サブドレン計画を不安視する声もあったという。このため、風評対策に全力で取り組むことや、計画実施により海水や魚介類の放射線量を確実に下げることなどを盛り込んだ要望書の提出を確認した。要望は県漁連を通して国と東電に出す。

 


 理事会には新地、相馬原釜、松川浦、磯部、鹿島、請戸、富熊の7地区から理事・監事約30人が出席した。理事らは各地区の意見をとりまとめた上で会議に臨んだ。
 国と東電は昨年8月に相馬双葉漁協などにサブドレン計画の受け入れを求めた。これまでの主な経過は【表】の通り。約1年の協議を経て、ようやく同漁協の受け入れが決着した。



■いわき市漁協 要望の回答踏まえ判断


 いわき市漁協は、6月に7支所からの意見を集約し、受け入れの条件を盛り込んだ要望書を東京電力に提出した。東電からの回答を踏まえて判断する方針だ。要望では(1)建屋内の水を海洋放出しない(2)海洋汚染の防止に努める(3)風評被害の解決に努める-などの6項目を求めている。

 


 相馬双葉漁協の計画受け入れについて、いわき市漁協幹部は「われわれとしては東電の回答次第という考え方に変わりはない」とした。

 


 相馬双葉漁協の判断について、東電福島復興本社福島広報部は「報道を通じて話は聞いているが、現時点で詳細を承知していない。引き続き計画に関して丁寧な説明をしたい」とコメントした。

 


 県は、有識者や福島第一原発周辺の関係13市町村などでつくる県廃炉安全監視協議会を8月中にも開催し、国と東電からサブドレン計画について正式な説明を受ける予定だ。

 


サブドレン計画
 建屋に流入する前の地下水をくみ上げ、汚染水の発生を抑える効果が期待される。地下水に放射性物質が含まれているため、除去した上で海に放出する。東京電力は排出基準について、国の法定放出基準より大幅に厳しく設定。

ストロンチウム90などベータ線を放つ放射性物質は1リットル当たり3ベクレル未満(法定放出基準同30ベクレル未満)、セシウム134(同60ベクレル未満)、137(同90ベクレル未満)はともに1ベクレル未満。トリチウムは1500ベクレル未満(同6万ベクレル未満)となっている。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/2015072824337