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東電福島第一原発3号機 使用済み核燃料プールから、20㌧の大型がれき撤去 プール内燃料取り出しへ前進(福島民報)

2015-08-03 12:28:48

fukushima3gouki2キャプチャ

東京電力は2日、福島第一原発3号機の使用済み核燃料プールに落下し、廃炉作業の支障となっていた長さ約14メートル、重さ約20トンの「燃料取扱機」を引き上げ、撤去した。

 

誤って落とせば燃料の損傷など重大事故につながりかねず、屋外の全作業を中断するなど厳戒態勢で臨んだ。東電は今後、平成29年度予定の燃料取り出しに向け、プール内のがれき撤去などを進める。



 作業は午前6時ごろから始まった。現場周辺の放射線量が毎時約220ミリシーベルトと極めて高く、現場から数百メートル離れた免震重要棟で大型クレーン2台を遠隔操作した。作業員の安全確保のため、3号機周辺の立ち入りも禁止した。

 


 当初、午前中の早い時間帯に引き上げる予定だったが濃霧で視界が悪く、開始を遅らせた。午前11時55分ごろから、専用に開発したフック状などの器具を燃料取扱機の3カ所に引っ掛けてつり上げ、午後1時20分ごろに原子炉建屋脇の敷地に運び出した。東電によると、作業前後で敷地内の放射線量に大きな変化はなかった。

 


 燃料取扱機がつり上げ中に落下するなどのトラブルがあれば、燃料の損傷だけでなく、プールと原子炉を隔てるゲートがずれ、冷却水が漏れ出し、燃料がむき出しになって強い放射線が出る恐れもあった。このため、緩衝材付きの板で一部の燃料を覆うなど複数の安全対策を講じた。

 


 東電は今後、燃料取扱機を解体し、敷地内に保管する。プール内の残りのがれきも撤去する。プール内に残る566体の燃料取り出しに向け、プール周辺の除染や放射線の遮蔽(しゃへい)方法の検討を本格化させ、建屋の屋上に燃料取り出し用のカバーを設置する。

 


 東電は「プール内の他のがれき撤去作業も前進する」と評価した。県も「廃炉に向けた大きな一歩。今後も、安全かつ速やかな廃炉を実現するため、東電の作業を注視していきたい」としている。

 


 燃料取扱機は、核燃料を原子炉に出し入れする機器。プール上部に設置されていたが、水素爆発の衝撃で落下した。重さ約35トンとプール内の最大のがれきで、なるべく引き上げがしやすいよう部分的に撤去し、約20トンにまで軽量化した。

 


 政府と東電は当初、27年度中に3号機の燃料取り出しを始める予定だったが、燃料取扱機の撤去が進まず、さらに放射性物質の飛散などのトラブルが重なり、開始時期を29年度中と変更した。

 

http://www.minpo.jp/news/detail/2015080324460