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インド 東芝子会社のウェスティングハウスから、原発6機購入の方向。モディ首相出身のグジャラート州。原発賠償制度変更が交渉後押し(RIEF)。

2015-12-26 23:06:21

westinghouseキャプチャ

 各紙の報道によると、東芝の米子会社であるウェステイングハウス・エレクトリック(WH)はインドに対して、2016年に原発6基を販売する交渉が進展しているという。

 

 WHから原発をまとめて購入を検討しているのは、モディ首相の出身州であるグジャラート州。同州は日本企業の進出も多く、州内の電力網が充実していることで知られる。

 

 WHは同州に一基当たり1150kWの発電容量を持つ最新鋭のAP1000型を少なくとも6基の発注交渉を進めているという。インドの法制では原発事故が起きた場合、事業者だけでなく、原発製造メーカーの製造物責任も問う体系となっているため、これまで米原発会社は同国への進出に慎重だった。

 

 しかし、今年1月、米インド両国は、原発債務協定を結び、賠償制度の弾力化で合意した。同協定では、インド側が75億ルピー(約1億1300万㌦)の保険プール制度を設けて、事業者とともに製造業者の責任を事実上、免除する仕組みとした。こうしたことから、今回の実務交渉が動き出したとみられる。

 

 インドの原子力エネルギー庁は、新しい保険条項を電力事業者の契約に盛り込ませる方向で作業を進めている。WH幹部は、米政府がこうしたインドの姿勢を「国際的スタンダードに合致している」と評価すれば、交渉は進展する、と期待している。

 

 WHは東京電力福島第一原発事故の影響で、新規の原発建設等が進まず、2012年度は約9億㌦、13年度は約4億㌦、合計13億㌦の損失を計上した。東芝の不正経理問題では、WHのこうした損失の計上を東芝の連結に計上していなかった問題も指摘されている。

 

 今回の米印協定を受けたグジャラート州での原発建設が成約すると、WHの財務体質改善にも大きく貢献するとみられる。

 

 インド政府は原発賠償責任法の改正によって、2032年までに国内の原発発電量を10倍に増やす計画だ。経済成長に伴う電力安定供給と、COP21の合意による温室効果ガス排出量削減の両方の必要性を満たすことを目指すという。