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損害保険ジャパン。森林クレジット等の自然資源由来のカーボンクレジットが、森林火災等で消失した場合の市場からの追加調達分の費用補償保険を開発(RIEF)

2022-12-15 16:47:26

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 損害保険ジャパンは15日、森林クレジット等の自然資源由来のカーボンクレジットが、森林火災等で消失した場合の補償を提供する新保険を販売すると発表した。自主的カーボンクレジット(VCM)事業を提供する事業者が、VCMを創出する自然資源が災害等で消失や損傷を受け、契約通りのクレジットを提供できなくなった場合に、市場等から代替的にクレジットを調達する購入費用を補償する。森林火災でクレジット対象の森林が消失する事例は米国等で実際に頻発している。

 

 (写真は、米西部州で昨年夏に起きた広範囲に及ぶ森林火災。オフセット対象の森林も消失した)

 

 同社によると、今回開発した森林クレジットの補償保険については、九州大学都市研究センターの馬奈木俊介主幹教授の研究室と進めている自然資本活用によるCO2削減ソリューション事業の一環としている。

 

 新保険の仕組みは、保険に加入するのは、森林資源のCO2吸収力を活用してカーボンクレジットを創出する事業者。同事業者が所有する森林に偶然な事由で損害が発生し、 クレジット購入者との間で取り決めたCO2吸収量に不足するクレジット相当額を、被保険者の事業者が市場等から調達する際の費用を補償する。この場合、保険金支払いの条件となる「偶然な事由」として、被保険者が所有する森林に発生する火災・自然災害等をあげている。

 

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 森林クレジットは、適切 な森林管理を行うことによるCO2吸収だけでなく、自然資本の保全・回復にも貢献する期待がある。VCM全体へのクレジット需要が高まる中でも、森林クレジットはもっとも汎用性が高く、CO2吸収効果の高い分野といえる。

 

 しかし、森林自体は自然資本なので、自然災害等による損傷リスクを常に抱えている。気候変動の進展によって異常乾燥が長期化する等の影響で、森林火災発生のリスクは増大している。実際に、昨年夏に、米オレゴン、ワシントンの各州で起きた広範囲な森林火災の影響で、マイクロソフトやBPなどがオフセット用に調達していた森林も火災に見舞われ、同森林から創出されたカーボンクレジットが消滅する事態が起きている。https://rief-jp.org/ct8/116700

 

 損保ジャパンでは、今回開発した保険を、クレジットを扱う企業や自治体向けに、今月中に売り出すとしていいる。 今後については、地方自治体を中心とした脱炭素の活動支援を通じてカーボンクレジットの普及を促進するとともに、日本の自然資本の回復・保全に向け積極的に取り組む、としている。

https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2022/20221215_1.pdf?la=ja-JP