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金融庁と東京証券取引所、気候情報開示を盛り込んだコーポレートガバナンス・コード改定案を提示。6月の改定目指す。TCFD提言に沿う。企業はSSB基準化への対応も求められる(RIEF)

2021-04-01 12:18:41

FSA1キャプチャ

 

 金融庁と東京証券取引所は31日に首相官邸で開いた「気候変動対策推進のための有識者会議」の場で、上場企業に適用するコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改定案を示した。企業が気候変動によって自らの事業が直面するリスクやそれに対する対応策等の開示を求める。パブリックコメントを経て、6月に改定コードを施行するとしている。

 

 コーポレートガバンス・コードは2018年6月に、取締役に女性や外国人の選任を盛り込む等の改定をしており、それ以来の改定になる。コードが求める気候情報は、TCFDの提言に基づくことになる。同提言では企業のガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4分野について、気候関連対応を求めている。

 

 気候情報開示では、そうした個別企業の対応を開示するとともに、将来の温暖化の進展によって企業が事業や資産等で受ける影響をシナリオごとに分析することが求められる。さらにTCFD提言では、気候影響の大きいエネルギー、運輸、素材・建物、農業・食品・木材製品のセクターについては別途、開示のガイダンスを示している。

 

 すでに英国ロンドン証券取引所は今年初めからプライム市場の上場企業を対象として気候関連情報開示を義務化を実施している。その後、2025年までに、開示対象を、全企業、年金、金融機関等に拡大する方針だ。米国も証券取引委員会(SEC)が開示ガイダンスの改定を目指している。

 

 加えて、国際的な気候情報開示の流れは拡大方向に向かっている。国際会計基準を設定するIFRS財団は、TCFD提言に基づく気候情報開示のほか、サステナビリティ情報開示の共通基準作りのためのサステナビリティ会計基準機構(SSB)の立ち上げ作業を進めている。SSBは11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で正式発足する予定。

 

 SSBが進める気候関連情報の開示基準は、企業の財務・非財務両面での情報開示の国際共通基準になるとみられる。したがって、わが国も早晩、個別のコーポレートガバナンスコードでの対応を超えて、サステナブル会計基準の整備が求められることになりそうだ。

 

 東証では2022年4月に予定する市場再編で、現在の市場1部をプライム市場の改正。引き継ぐ予定で、当面、改正コードの適用対象は同市場の上場企業になる見通し。ただ、SSBやEU、SEC等の動きに迅速、柔軟に対応する必要がある。

 

https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/index.html