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石油連盟、炭素税に反対を表明。「エネルギー安定供給の視点を欠く」。電気自動車にも自動車燃料税の課税を要求(RIEF)

2021-06-17 15:03:07

sekiyurenmeiキャプチャ

 

 石油連盟は16日、2022年度の税制改正要望の中で、カーボンプライシングとしての炭素税の導入について「政府の検討において、エネルギー安定供給の視点が欠如する」などとして反対を表明した。また自動車燃料税についても、電気自動車(EV)がを課税対象としていないことは、道路利用者の公平性に反するとして課税対象にすることを求めた。

 

 カーボンプライシングについては、炭素税を課税する案と、EUのように排出権取引制度を導入する案がある。「2050年ネットゼロ」を実現するための賦課策とインセンティブ政策として、わが国でも導入の方向にある。CO2排出量の抑制効果は排出権取引制度のほうが高いとされるが、課税基盤を広げたい財務省の姿勢を環境省が支援する形で、炭素税導入が有力となっている。

 

 これに対して石油連盟は、「石油諸税はすでに年間5兆円を超える税額となっており、これ以上の税負担の増加は国民の理解が得られない」として、石油等のエネルギー分野への追加課税に反対を表明した。

 

 炭素税への反対理由については、①エネルギーコストの上昇を通じて、企業の生産・投資・研究開発の原資を奪い、経済成長の阻害が懸念される②エネルギー安定供給に対する影響の視点が政府の検討において、欠いている③すでに地球温暖化対策税、石油石炭税等のエネルギー関係諸税が導入されているが、その効果の十分な検証がなされていないーーとした。

 

 EVを自動車燃料税の課税対象とする要望は、「エネルギー課税の公平性確保」のためとしている。それによると、欧米では道路利用者の公平な負担の観点から、EVを含む乗用車、トラックに対して、走行距離に基づく課税(課金)が検討、導入されており、日本も自動車用の電気等に対して、自動車燃料税相当の課税を行うことで、EV等とガソリン車等との課税の公平性を確保すべきとしている。

 

 会見した杉森務会長(ENEOSホールディングス会長)は「エネルギーにはすでに、さまざまな税金が課されている。その中で、炭素税まで上乗せされるとエネルギーコストが高くなり、わが国産業界の国際競争力がなくなる。産業の空洞化が懸念されるほか、カーボンニュートラルに向けた技術開発、イノベーションにも影響が出る。石油業界だけでなく日本経済の成長を阻害する」等と述べた。

https://www.paj.gr.jp/from_chairman/20210616_02.pdf