NTTグループ、2040年度にグループ全体のネットゼロ目標(Scope1~2)設定。光技術による新通信ネットワーク導入を軸に。再エネ投資は2030年までで総額4500億円(RIEF)
2021-10-01 16:04:15

NTTグループは、2040年度までに温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル:2013年度比)とする目標を設定した。同時に、2030年度までの10年間で再生可能エネルギー発電設備に総額約4500億円を投じる。削減対象となるGHGはScope1~2を対象とする。
同社が明らかにしたカーボンニュートラル達成のロードマップ「新たな環境エネルギービジョン~NTT Green Innovation toward 2040」によると、2040年度のグループ全体の年間GHG排出量は860万㌧で、基準年の2013年度比85%増になると予想。
これらの排出削減を、国が目標とする2050年より10年早い2040年度で実質ゼロとする。対策の軸は、新たに発表した光技術を使った半導体を導入する新通信ネットワーク(IOWN =アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)と位置付けた。

IOWNは、NTTが提唱するネットワーク・情報処理基盤の構想。光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信、並びに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤を総称する。2024年に仕様を確定し、2030年の実現を目指している。ネットワークの切り替えにより、40年で電力消費量を50%削減、GHGも全体の45%を削減できるとしている。
残りのGHG排出量の45%は、再エネの導入や同電源への切り替えでカバーする。そのための再エネ投資として、蓄電池や配電設備等を含め、2030年度までの10年間で総額約4500億円の投資を展開する方針だ。さらにGHGの10%はIOWN以外での省エネの導入によって抑制する。
中間目標として、2030年度には80%削減を設定とするとともに、同年度までにグループのモバイル(NTTドコモ)、データセンターのカーボンニュートラルを先行して実現する。2022年には、グループ内部でのインターナルカーボンプライシング制度を導入する。
NTTでは、2040年度以降、国内にある電子半導体の半分を光技術を使った次世代半導体に置き換えた場合、日本全体で2000万㌧のGHG削減につながるという試算も明らかにした。NTTはネットゼロへの脱炭素化の移行プロセスを、光技術を普及・拡大するビジネスチャンスとして力を入れていく方針だ。
ただ、目標達成のカギを握るのがIOWNだが、まだ現状では構想段階。本格的な実用化のためには、電気信号を光に置き換える半導体チップの量産化などの技術課題があるとも指摘されている。IOWNの開発が順調に成果を発揮するかが注目される。
NTTの澤田純社長は、オンラインの会見で「『成りゆき』に任せると、データトラフィック(通信量)の増加で、40年の電力消費は13年の1.8倍に増える。自社での削減に合わせて、社会全体の温室効果ガスの削減にも貢献したい」と述べた。
https://group.ntt/jp/newsrelease/2021/09/28/210928a.html
https://www.rd.ntt/iown/?_ga=2.116925510.1788537993.1633068108-1648596992.1633068108