HOME |国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の日本人理事、ようやく決まる。前GPIF市場運用部次長兼スチュワードシップチーム・ヘッドの小森博司氏(RIEF) |

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の日本人理事、ようやく決まる。前GPIF市場運用部次長兼スチュワードシップチーム・ヘッドの小森博司氏(RIEF)

2022-08-23 18:26:54

komoriキャプチャ

 

  IFRS財団は23日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の未定だった日本選出理事に、今春まで年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の市場運用部次長兼スチュワードシップチーム・ヘッドを務めていた小森博司氏を指名したと発表した。 同氏のほか、欧州代表の2人の理事も指名した。ISSBは議長を含め14人の理事で構成するが、今回の指名で13人が確定、残り1人は専門家枠から選ばれる予定。

 

 小森氏以外に新たに指名された理事は、ドイツのシーメンスのサステナビリティ担当のシニア副社長を務めるJenny Bofinger-Schuster氏と、同じくドイツの小売り大手メトロでコーポレートレスポンシビリティ担当のシニア副社長のVeronika Pountcheva氏。2人は欧州枠での指名。Bofinger-Schuster氏はドイツ国籍、Pountcheva氏はブルガリア国籍。

 

 小森氏はGPIFでは、スチュワードシップとESG部門の責任者でもあった。GPIFに入る前は、三井住友信託銀行の審議役を務めていた。同氏は1979年に、埼玉銀行(現りそなホー ルディングス)入行。国際大学大学院修士課程(国際関係学専攻)を 経て、1990年、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)に移籍していた。https://rief-jp.org/ct4/56973

 

 小森氏は理事指名に際して、「ISSBの創設メンバーに加わり、今後の重要な取り組みに参加することを誇りに思う。他のISSB理事とともに、世界中の企業や投資家に向けてサステナビリティ情報開示を開発し適合させるため、多様なステークホルダーとエンゲージメントしていきたい」とのコメントを出した。

 

 ISSBは14人の理事枠のうち、アジア太平洋枠として3枠を設定、すでに中国と韓国の理事は就任していたが、日本からは「日本自身の事情で」(IFRS関係者)、指名が遅れていた。このため7月に開いた第一回理事会には、中国、韓国の理事は出席したが、日本からの理事は不在のまま開かれた。日本からの理事指名が遅れた理由についての政府関係者とからの説明はされていない。https://rief-jp.org/ct4/126858?ctid=69

 

jenny 氏
Jenny Bofinger-Shuster氏

 

 欧州から選ばれたBofinger-Schuster氏は、シーメンスで同社のサステナビリティ戦略の開発や、新たな情報開示の実行等を担当する責任者を務めていた。シニア副社長に就任する前は、グループのSiemens Management ConsultingやHorváth & Partners Management Consultantsに在籍。ドイツのアウグスブルグ大学を経て、米オハイオのデイトン大学でMBAを取得している。

 

Veronica
Veronika Pountcheva氏

 

 Pountcheva氏は、欧州全域に展開するMETROのブルガリア拠点を経て、ドイツ、セルビアでも勤務後、シニア副社長として、同社の長期サステナビリティ戦略の立案に携わってきた。また消費商品フォーラムと経営陣のダイバーシティ促進のためのイニシアティブの議長も務めてきた。ブルガリア・ソフィアの国家世界経済大学での経済学と、ソフィア技術大学での機械工学と化学で、それぞれ修士号を取得している。

 

 IFRS財団評議委員会議長のErkki Liikanen氏は「今回の理事指名で、地理的にバランスの取れた理事会メンバーが出そろった。このことは、ISSBが、企業や投資家、規制当局、その他から、より良いサステナビリティ情報開示を進めるためのグローバルな需要に的確に対応することに役立つ」としている。

 

(注)本記事は、2022年8月23日午後8時30分に内容を一部修正し、更新しました。

https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2022/08/three-members-appointed-from-europe-and-japan-to-the-issb/?utm_medium=email&utm_source=website-follows-alert&utm_campaign=immediate