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マルハニチロ、国内初のブルーボンドの発行額は50億円。三菱商事と連携して富山で実施するサーモン陸上養殖事業等に充当(RIEF)

2022-10-31 16:59:56

マルハニチロキャプチャ

 

 水産大手のマルハニチロは、海洋汚染の防止や持続可能な水産資源に関連する事業などに資金使途を限定した「ブルーボンド」を11月2日に発行する。わが国企業によるブルーボンド発行は同社が初めて。発行額は50億円で、資金使途は、三菱商事と共同で富山県で実施するサーモン陸上養殖事業等の環境持続型の漁業・養殖事業に充当する。

 

 (上図は、富山湾の海洋深層水を活用したサーモン陸上養殖の予想図)

 

 同社はこの夏、ブルーボンドの発行を宣言し、これまでフレームワークの策定や条件面の調整を続けてきた。初のブルーボンドは、期間5年で金利は年0.55%。同社はサステナビリティ戦略として、2050年のカーボンニュートラル実現とともに、生物多様性と生態圏保全目標として、2030年までに取り扱い水産物に資源枯渇リスクがないことの確認率をグループ全体で100%することを掲げている。https://rief-jp.org/ct4/127415

 

 今回のブルーボンドで調達した資金の主な使途先は、三菱商事と連携して富山県入善町で計画中のサーモンの陸上養殖事業。両社はすでに事業会社として合弁会社アトランド社を設立している。出資比率は、三菱商事51%、マルハニチロ49%。事業計画では、入善町に年間2500㌧(原魚ベース)規模の陸上養殖施設を建設する。2025年度の稼働開始、2027年度の初出荷を目指している。

 

 同事業は、デジタル技術も活用して、陸上でサーモンの持続可能で安定的かつ効率的な生産体制を築くことを目指す。現在、世界市場での養殖サーモンの7割超はノルウェー・チリの2ヶ国が最大の生産地となっている。ただ、海面養殖は、これらの国のように年間を通し海水温が低く、天候・波が穏やかである等の条件が必要になる。

 

 そこで両社では、富山の黒部川の伏流水と富山湾の海洋深層水を活用することで、清浄性・低温安定性を確保した養殖環境を陸上で構築。デジタル技術による管理も導入して、効率的なエネルギー使用量でサーモンの地産地消型ビジ ネスモデルを実現することを目指している。

 

 開発する養殖場は海洋のエコラベルである「GSSI(グローバル・サステナブル・シーフード・イニシアチブ)」の承認認証レベルの管理推進を行う。同社は今年3月に公表した中期経営計画において、経営戦略とサステナビリティを統合し、企業価値の向上と持続的な成長の実現を目指すことを宣言しており、ブルーボンド発行はこうした経営戦略に合致する資金調達と位置付けている。

 

 主幹事はみずほ証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券。セカンドオピニオンは格付投資情報センター(R&I)が付与した。同ボンドへの投資機関は第一生命保険、東京海上日動等の金融機関が中心になった。

 

 ブルーボンドは2018年にセーシェル諸島が発行規模1500億㌦、期間10年のブルーボンド国債を発行して以来、各国で官民による発行が一定の規模で続いている。調達資金を持続可能な漁業や海洋保全等に充当することが多い。

https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/news_center/news_topics/20221027_bluebond_jp.pdf

https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/ir/stock/bond/pdf/blue_finance_framework.pdf

https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/news_center/news_topics/20220630_JP_MC%20and%20Maruha%20Nichiro%20Agree%20to%20Establish%20New%20Joint%20Venture%20in%20Salmon%20%28land-based%29.pdf