HOME11.CSR |格付投資情報センター(R&I)。ESG債とインパクトボンドを両方評価する初のフレームワーク開発。第一号に豊田合成の枠組みに対してセカンドオピニオンを付与(RIEF) |

格付投資情報センター(R&I)。ESG債とインパクトボンドを両方評価する初のフレームワーク開発。第一号に豊田合成の枠組みに対してセカンドオピニオンを付与(RIEF)

2023-11-03 23:25:28

toyotagoseiキャプチャ

 

 格付投資情報センター(R&I)は、ESG債等へのセカンドオピニオン事業の対象として、新たにインパクトボンドを含めると発表した。第一号のインパクト評価対象として、豊田合成が設定する「サステナブル&ポジティブインパクト・ファイナンス・フレームワーク」に対して、セカンドオピニオンを付与した。同フレームワークは、グリーンボンド等のESG債の諸原則と、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が開発したポジティブインパクト金融原則(PIF)の両方に適合したボンドを発行するための仕組み。同フレームワークの設定は国内では初めて。

 

 同フレームワークに基づく「インパクトボンド」の発行は、豊田合成が、別途、決定する。

 

 R&Iによると、インパクトボンドはグリーンボンド等を発行する際に通常求められる開示項目に加えて、発行体が自身の事業が環境・社会及び経済に与える影響(インパクト)を管理する社内体制の確立を評価に加えて開示する債券をいう。発行体はESG債等の開示項目に加えて、インパクトに関わる重要業績指標(インパクトKPI)を定期的に投資家に報告することを定める。

 

 同債券への投資家は、インパクトボンドの発行体企業が実施する環境・社会等に与えるインパクト管理を通じて、投資家自身も環境・社会に貢献度の高い事業投資に参画できることになる。R&Iが発行体に付与するセカンドオピニオンでは、発行体が整備する社内のインパクト管理体制がUNEP FIが公表するPFIに適合することを確認するとともに、PIFに基づき、資金の使途となる事業のインパクトを評価する。

 

 UNEP FIのPIFでは、「定義」「枠組み」「透明性」「評価」の4つの分野について原則を定めている。セカンドオピニオンでは当該企業のフレームワークが、国際資本市場協会(ICMA)が発行するESG債の諸原則に加えて、こうしたPIFの原則にも適合するかどうかを、評価することになる。

 

 従来のESG債では、代表的なグリーンボンドのように、調達資金について特定の使途を前提とする場合と、発行体がサステナビリティの改善目標を立てて、その達成を条件に資金調達するサステナビリティリンクボンドが中心だ。これに対してインパクトボンドの発行体は、自身の事業がESG分野に与える影響(インパクト)の管理体制の整備等を追加的に開示することが求められる。

 

 R&Iは今回、豊田合成のインパクトフレームワークを評価するに際して、これまでのグリーンボンド等の報告事項のほか、インパクトに関わる重要業績指標(インパクトKPI)の評価に際して、UNEP等が加わる国際イニシアティブの「インパクト・マネジメント・プロジェクト(IMP)」が提唱する分析手法「インパクトの5側面」や「ABCアプローチ」等を使って、豊田合成の事業が生み出すインパクトを評価した。

 

 インパクト評価が明瞭な企業の債券が登場すると、投資家は当該債券の発行体企業が実施する環境・社会分野に対するインパクト管理を評価し、環境・社会へのインパクトの高い企業・事業への投資を判断できることになる。

 

 豊田合成は、合成ゴムや合成樹脂およびその配合技術をベースにした自動車部品の大手企業。環境分野では、ゼロエミッション車向けの製品、リサイクル材やバイオマス材の活用、製造プロセスでの廃棄物や水リスクの極小化および再生可能エネルギーの導入等を進めている。社会分野では、交通死亡事故低減に向けた先進安全技術・製品の開発と製造、取引先の中小零細企業向けの移行に資するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)投資、障がい者、女性、海外拠点の現地雇用など多様な人材の活躍推進等を重点取り組みとしている。

 

 フレームワークの主なKPIとして、エアバッグ生産個数、BEV(バッテリー式V)関連の売上比率、スコープ1~3の温室効果ガス(GHG)排出量等を設定する。達成目標としては、2030年にエアバッグを22年度比1.5倍、BEV関連売上を40%、GHG排出量のスコープ1~2ゼロ等を掲げている。

https://www.r-i.co.jp/info_esg/2023/10/info_esg_20231031_jpn.pdf

https://www.r-i.co.jp/news_release_suf/2023/10/news_release_suf_20231031_jpn_7.pdf

https://www.toyoda-gosei.co.jp/news/details.php?id=1239