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インフロニア・ホールディングス。贈収賄不祥事の日本風力開発を米投資ファンドから買収。総額2031億円。再エネ事業を総合インフラサービス企業化の柱に加える(RIEF)

2023-12-12 22:01:28

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写真は、インフロニアHD、前田建設工業等の本社)

 

  前田建設工業等を傘下に持つ「インフロニア・ホールディングス」は12日、国の洋上風力発電入札をめぐり贈収賄事件を起こした日本風力開発の全株式を、米投資ファンドの米ベインキャピタル(Bain Capital )から取得すると発表した。買収総額は2031億円。日本風力開発は、創業者の塚脇正幸前社長が衆院議員の秋本真利被告への贈賄罪で在宅起訴される不祥事を起こしている。インフロニアはこれまでも日本風力開発との事業を通じた関係が深く、問題となったコンプライアンス、ガバナンス面の改善を進めるとともに、再エネ等のインフラ運営事業を同社の成長戦略と位置付け、「総合インフラサービス企業化」の推進に貢献すると判断したとしている。

 

 インフロニアは同日開いた臨時取締役会で、日本風力開発の株を保有するJWDホールディングス3の株式を持つベインキャピタルの「Bain Capital Breeze Cayman 2, L.P.」と「Bain Capital Breeze Double Impact, L.P」から全株式を取得し、インフロニアの子会社化とすることを決議した。また、ベインキャピタルが投資助言を行う投資ファンドが間接保有するエンティティから、日本風力開発の子会社に相当する複数の事業用SPCの匿名組合出資持分等の譲渡契約上の地位や権利義務等も一括して取得する。

 

 日本風力開発は、主に国内の風力事業開発に特化した独立系のリーディングカンパニー。これまで国内国外で293基、総発電容量57万850kWの風力発電所(2023年4月時点)を開発し、運転保守(O&M)事業も展開している。ただ、国の洋上風力発電の入札をめぐり、創業者の塚脇正幸前社長が衆院議員の秋本真利被告への贈収賄容疑で在宅起訴され、国からコンプライアンス体制の検証を求める行政指導を受けるなど、経営体制が揺らいでいた。https://rief-jp.org/ct4/140025?ctid=

 

 塚脇前社長は、国の洋上風力発電事業の入札ルールの変更を求めて、秋本議員に賄賂を贈り、国会で政府に対する質疑を要請したとして、東京地検の捜索を受け、その後、辞職している。インフロニアは日本風力開発の不祥事は組織ぐるみではなく、同社のガバナンス改革は可能と判断。また同社が約3600MWの新規開発案件(12月時点)を抱えていることから、成長ポテンシャルが大きいと評価し、子会社化を決めた。

 

 特に日本風力開発が、風力発電事業の案件開発から運営・維持管理までを一気通貫で手掛けている点が、「インフロニアのビジネスモデルと合致する」と高く評価し、「今回の連携により、両社の再エネ事業のさらなる拡大に多くのシナジーを創出する」と期待を示している。

 

記者会見するインフロニアHDの岐部社長=日本経済新聞から
記者会見するインフロニアHDの岐部社長=日本経済新聞から

 

 インフロニアの岐部一誠社長は記者会見で「インフロニアは『建設請負』からの脱却を掲げ、インフラ運営事業を拡大している。その中で、再エネ事業開発の加速が喫緊の課題だ。日本風力開発は風力発電設備の開発や運用・保守が強みだ。国内でこれまで約300の風車、総発電容量570MWの開発を手がけた実績がある。社員も300人を超える。同社を傘下に入れることで、インフラ開発を上流から下流まで一貫してできる唯一無二のグループとなる」と買収の狙いを示した。

 

 焦点となる日本風力開発のガバナンス問題については、「弁護士などの専門家を入れて慎重にデューデリジェンスを行った。同社の第三者委員会の調査を守秘義務の範囲内で可能な限り確認し、前社長の贈賄は組織ぐるみではないと確認した。将来に問題のあるような法令違反は現時点で確認されていないと考えている」と説明している。

https://www.infroneer.com/jp/blog_assets/attachments/714/20231212_2.pdf