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千葉・袖ケ浦で元旦から続く大阪ガスグループのバイオマス発電所での燃料火災問題。原因はベトナム産「偽装木質ペレット」の可能性。不純物含有燃料が各地の発電所で放置状態に(RIEF)

2023-01-27 00:19:26

Chiba003キャプチャ

 

 千葉県袖ケ浦市の大阪ガスのグループ企業が運営するバイオマス発電所で、今年の元旦以来、保管燃料の木質バイオマスの火災が続いている。その火災原因の燃料が、認証偽造問題を引き起こしたベトナム産のものである公算が高まっている。同木質ペレットは、不純物等を混在させて増量したうえでFSC認証を偽造して日本に輸出していたことが明らかになっている。各地のバイオマス発電所では、輸入した不正燃料が大量に保管されている可能性が高い。同発電所以外でも日本各地で発火事件が相次いでいる。

 

 (写真は、煙を出し続ける燃料サイロ、千葉・袖ケ浦=千葉テレビのサイトから)

 

 元旦から、サイロ内の木質ペレット燃料が燃え続けているのは、千葉・袖ケ浦のコンビナート地区にある「袖ケ浦バイオマス発電所」(同市北袖)。大阪ガス(大阪市)のグループ会社「Daigasガスアンドパワーソリューション」が運営し、2月から営業運転を開始する予定だった。

 

 同社の26日のプレスリリースでも「火災は、サイロ内に貯蔵された木質ペレットが自然発熱した可能性があると考えており、サイロ内へ窒素注入及び散水を行うなどの対応をおこなってきた。現在も白煙の発生が続いているため、消防により鎮火が確認されるまで消火活動等を継続している」としている。https://www.daigasgps.co.jp/news/1281611_12390.html

 

 同発電所は、発電容量7.5万kWで国内最大級のバイオマス専焼発電所。発電所は旭化成の千葉工場内にあり、火災を起こした燃料サイロは、近隣の日本燐酸の事業所内に設けられている。サイロは2021年12月から使用している。最大で1万㎥を保管できる規模の4基(A1、B1、A2、B2)のサイロのうち、A1から元日に白煙が上がり、異臭が発生した。A1の消火作業を行っている中、今月4日にはB1でも白煙や異臭が発生したという。

 

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 火災の影響で、袖ヶ浦市のコンビナート周辺の住民は煙や悪臭に悩まされ続けている。煙と悪臭の影響で、15日に予定していた市消防本部の出初式は中止となった。

 

 火災を起こした木質ペレットは海外からの輸入製品。同社は輸入元を公表していないが、ベトナムから日本に大量に同燃料を輸出していたAVP社製の可能性が高い。ベトナムでの同燃料の生産可能量は、FSC認証対象となる樹木のアカシア等の栽培面積を前提にすると年間30万㌧程度。ところが、実際にはその6倍近くの燃料が日本を中心に輸出され、そのうちAVPが最も多くを輸出してきたことから、以前から認証偽装の疑惑が出ていた。

 

 昨年10月、国際的な森林認証制度を運営するFSC本部は、AVPの木質ペレットの認証が偽装されたものであるとの調査結果を公表した。これを受け、同社から輸入していた日本の商社や、同燃料を購入して発電を続けていた発電所等では混乱が起きた。認証偽装の影響は、各発電所が利用するFIT制度の信頼性を揺るがすものとなるためだ。

 

 FIT制度では、認証付きの木質ペレットは一般木質バイオマス燃料とみなされ、同燃料で発電した電力は1kWh当たり24円で買い上げられる。これに対して、認証のない建設資材廃棄物等の買い上げ価格は同13円と半額近くに下がる。制度を運営する経済産業省は、偽装燃料で発電したバイオマス発電会社に対して、「過払い」を続けていたことになる。https://rief-jp.org/ct10/129368

 

 AVPは、輸出燃料を高額扱いにするため、他の廃棄物等を混ぜてかさ増ししたうえで、不正にFSC認証を付与し、日本の商社に売りつけていたとみられる。FIT制度を運営する経済産業省は、燃料にFSC等の認証が付与されていると、改めてチェックすることもなく、そのまま発電事業者から電力を買い上げる対応を続けてきたとされる。

 

国会で答弁する経産省の井上隆雄・省エネ新エネ部長
「FIT発電に(偽装燃料)が使用されている事実はないと認識している」と国会で答弁する経産省資源エネルギー庁の井上隆雄・省エネ新エネ部長

 

 制度運営の責任を問われることを懸念してか、経産省幹部は、昨年12月の国会答弁で、認証偽装燃料がFITに利用されているのではとの質問に対して、「FIT等に基づく発電に(偽装燃料)が使用されている事実はないと現時点で認識している」と答えている。しかし、AVP社の木質ペレットの日本への輸入は、少なくとも数年以上続いており、各発電所ですでに燃料として使われてきたほか、現在もサイロ等に大量に保管されている。https://rief-jp.org/ct10/131485

 

 バイオマス発電所での燃料による火災事件は、これまでも再三起きている。昨年9月には、JERAの常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)で輸入燃料による火災事故が発生している。構内のバイオマス受入施設(ホッパー建屋)から煙が発生。消防による消火活動によって、火は約7時間半後に鎮火確認された。燃料は三井物産がベトナムから輸入したとされる。https://rief-jp.org/ct4/130119

 

 2020年10月には、北九州市若松区のオリックスグループの「響灘エネルギーパーク合同会社」運営のバイオマス発電所で、発電所に燃料を運ぶベルトコンベアから出火し、4時間後に鎮火した。このほか、南九州の木質バイオマス発電所で、不純物によるクリンカー発生でのボイラートラブルが頻発したほか、関東の発電所でも発電所へ燃料を運ぶコンベヤで、不純物が原因とみられるトラブルの発生が起きたとの報告が相次いでいる。https://rief-jp.org/ct4/107574

 

 FIT制度を運営責任を負う経産省にすれば、本来は、これまでのバイオマス発電での電力買い上げ履歴を全て精査し、偽装燃料の使用が疑われる発電については、発電会社に支払ったFIT買い上げ額を見直す作業をすべきだろう。「FITの過払い金」は再エネ電力賦課金として国民の支払いに回しているわけだからだ。国民は「過払い取り戻しサイト」に電話をしなければならないのだろうか。https://rief-jp.org/ct5/129862

https://www.daigasgps.co.jp/news/

https://www.daigasgps.co.jp/news/1281611_12390.html

https://nordot.app/983972651094081536