HOME10.電力・エネルギー |沖縄電力、送配電部門分離で特例扱いされた自社の送配電部門で、新電力の託送業務の顧客情報を、電力小売り部門の社員が不正閲覧。10電力すべてで不正情報アクセスが判明(RIEF) |

沖縄電力、送配電部門分離で特例扱いされた自社の送配電部門で、新電力の託送業務の顧客情報を、電力小売り部門の社員が不正閲覧。10電力すべてで不正情報アクセスが判明(RIEF)

2023-02-18 12:47:28

okinawadennキャプチャ

 

 大手電力各社で傘下の送配電子会社に限定されている再生可能エネルギー発電の固定価格買取制度(FIT)の業務管理システムへの不正アクセスが表面化しているが、送配電部門の子会社化の例外とされてきた沖縄電力も、送配電業務を担当する託送部門が、契約する新電力会社の顧客情報を不正に閲覧していたことがわかった。電力自由化市場での公正な競争を保つためには、電力業務の発電、売電部門と、ネットワーク業務である送配電部門の完全法的分離が不可欠であることが改めて浮き彫りになった。https://rief-jp.org/ct5/132649

 

 沖縄電力は17日、電 力・ガス取引監視等委員会より託送業務により知り得た情報の電力小売 部門からの閲覧の有無を調査報告の指示を受け、調査した結果を同委に報告するとともに、公表した。それによると、同社の小売部門と送配電部門が共用しているシステムの新設時に送配電部門が登録した新電力顧客情報が、小売部門から閲覧されないよう符号化すべきであったのに、そうしていないまま登録していたことから、266件の新電力の顧客情報が、沖縄電力の小売部門から一定期間の閲覧が可能な状態となっていたとしている。

 

 閲覧可能な状態だったのは、昨年10月1日から同12月31日の間。この間、実際に、小売部門から新電力顧客情報に対する閲覧は8件(閲覧者数11件)あったという。また小売部門に対するアンケート調査で、9人が閲覧したと回答した。ただ、閲覧理由については、小売部門が必要な業務処理を行う過程での偶発的な閲覧や、自社の顧客情報と合わせて表示されたため等とし、営業活動に活用していないことを確認している、としている。

 

 東京電力等の大手電力各社は、電力自由化対応で、新電力各社の電力を自社の送配電ネットワークで託送することから、公平な競争条件を確保するため送配電部門を本体から子会社化する制度改革を実施してきた。しかし、制度設計を担当した経産省は、本体から完全に分離する法的分離の方式をとらず、電力各社(ホールディングス)の傘下に子会社として位置付ける方式を「法的分離」と称して行った。このためホールディング傘下で並存する営業子会社から、送配電子会社が取り扱う新電力各社の情報への不正アクセスが軒並み生じていた。https://rief-jp.org/ct5/132649

 

 沖縄電力の場合、同電力の規模や沖縄の地理的事情を考慮して特例として、ホールディングス傘下での送配電部門の子会社化方式をとらず、営業会社の中の部門として維持してきた。だが、他の電力と同様にライバル企業情報への不正アクセスが起きていた。このことは送配電業務自体を発電・営業部門から完全に法的分離(所有権分離)し、別会社にする必要性が改めてクローズアップされた形だ。

https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/news_release/2022/230217_02.pdf