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ロシア・シベリアでの広大な森林火災、立ち上がる煙が北極点にまで流れる。観測史上初めて。ロシア全土が火災の煙で覆われる(RIEF)

2021-08-10 15:43:23

NASA002キャプチャ

 

  北半球の各地で熱波による森林火災が広がっている。ロシア・シベリアでも広大な森林火災の広がりで、火災から巻き上がった煙が、北極点にまで達したことがわかった。北極点にまで火災の煙が拡散したのは、観測史上、初めて。地球温暖化の加速に加え、ロシア政府が消火対策に積極的でないことが事態の悪化を招いているとの批判の声があがっている。

 

 (写真は、NASAが発表したロシア上空での火災の煙の広がり状況)

 

 米航空宇宙局(NASA)の衛星画像によると、ロシア北東部のサハ共和国周辺で発生している森林火災から立ち上がる煙は、同国首都のヤクーツクから3000km以上離れた北極点にまで到達したことを観測した。さらに6日には、ロシア全土が火災の煙で覆われたとしている。

 

 シベリアの森林火災はここ数年、毎年拡大を続けている。ロシアの気候観測機関や環境団体は気候変動の影響とともに、政府の森林管理予算の減額による悪化の影響も指摘している。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は9日の第6次評価報告書(AR6)で人間活動による温暖化の影響は「疑う余地がない」と断定している。https://rief-jp.org/ct8/116804

 

燃えるに任されるシベリアの森林火災
燃えるままに任されているシベリアの森林火災

 

 大規模な火災が発生しているサハ共和国は、ロシア最大の共和国で、もっとも寒い地域として知られている。しかし、近年は熱波の影響が顕著で、昨年6月には同共和国の小村、ベルホヤンスクで38℃の最高気温を記録、世界を驚かせた。同共和国は永久凍土が広がっており、毎年の気温上昇と森林火災の広がりで、凍土の融解も懸念されている。https://rief-jp.org/ct4/104019

 

 永久凍土の融解が進むと、凍土中に閉じ込められていたメタンが流出し、温暖化が加速する懸念がある。メタンはCO2よりも84倍も温暖化係数が高い。すでに最近の衛星画像を使った調査で、流出したメタンの大気中への増加が確認されている。https://rief-jp.org/ct8/116638?ctid=70

 

 ロシアの水文気象環境監視局Rosgidrometによると、サハ共和国で現在、燃えている火災面積は340万ha(東京ドーム730万個)に及ぶ。火災現場は消火チームから遠くてアクセスも難しいところを含む。ロシアの森林局によると、同地を含め今年の森林火災面積はすでに1400万ha以上に達しており、今世紀に入って二番目に酷い年だという。

 

 ロシアでは、消火活動にかかる費用が損失額を上回る場合や、居住地に影響を及ぼさない場合には消火活動をしなくてもいいとする法律がある。このため、国も地元当局も積極的な消火活動を行わず、毎年、膨大な森林資源が焼失しているとされる。

 

 環境保護団体グリーンピース・ロシア(Greenpeace Russia)の森林プログラム責任者のアレクセイ・ヤロシェンコ(Alexei Yaroshenko)氏は、拡大する森林火災について、気候変動の影響に加え「国家の森林管理力が低下し続けていること」が関連していると指摘している。

https://www.theguardian.com/world/2021/aug/09/smoke-siberia-wildfires-reaches-north-pole-historic-first