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JERA、インドネシアのパイトン石炭火力発電事業の保有株を地元企業に売却。保有ポートフォリオの入れ替え策。ただし、国内の保有火力発電は売却困難で、引き続き大量に抱え込む(RIEF)

2021-08-20 21:15:52

Piton002キャプチャ

  東京電力と中部電力が折半出資でJERAは20日、インドネシアのジャワ島で運営してきたパイトン・石炭火力IPP事業の保有株式(事業権益の約14%に相当)を同国の総合エネルギー企業に売却したと発表した。JERAは内外で火力発電所を多く抱えているが、脱炭素化の進行を受けて、保有ポートフォリオの入れ替えを進めており、その一環。ただ、国内では30カ所近くの火力発電を抱え、インドネシアでもチレボンで引き続き火力発電を運営している。

  

 パイトン事業の売却先は、エネルギー大手PT Medco Daya Abadi Lestariの完全子会社である PT Medco Daya Energi Sentosa。売却額は公表されていない。パイトン事業の発電容量は1号機が1999年に商業運転を始め、JERAの前身、東京電力が2005年に事業会社に出資していた。1号機は123万kW、3号機が81.5万kW。JERAの持ち分出力は合わせて約28万kW。6月末時点で同社の海外事業全体の約3%に相当する。

 JERAは「保有する資産の売却や売却後の資金を活用した再投資により、ポートフォリオを入れ替えることで、事業環境の変化に合わせた最適な資産構成を実現し、収益の拡大を目指す」とコメントしている。海外の石炭火力発電所は、同じインドネシアのチレボンのほか、フィリピンやタイにも保有している。

 海外の火力発電は今回のように地元のエネルギー会社等に価格を下げて譲渡することが可能。だが、国内に27か所抱える化石燃料火力発電は売却は困難で、燃料転換や混焼等で、排出するCO2量を相対的に削減するか、操業停止にするかの選択肢しかない。2030年CO2排出量46%削減を実現するには、JERAの化石燃料火力発電の扱いは、大きな障害になりそうだ。

 海外の石炭火力事業からの撤退は、総合商社も進めている。三井物産は6月、同じインドネシアのパイトン地区で操業していたPT Paiton Energyの45.5%の株式をタイ企業に売却している。https://www.mitsui.com/jp/ja/release/2021/1241471_12148.html

https://www.paitonenergy.com/

https://www.jera.co.jp/information/20210820_744