HOME8.温暖化・気候変動 |不動産大手ヒューリック。2030年に全保有建物のCO2排出量ネットゼロ目標を設定。「2050年目標」を大幅前倒し。自前の非FIT再エネ電源で100%「CO2フリー電力」を達成へ(RIEF) |

不動産大手ヒューリック。2030年に全保有建物のCO2排出量ネットゼロ目標を設定。「2050年目標」を大幅前倒し。自前の非FIT再エネ電源で100%「CO2フリー電力」を達成へ(RIEF)

2021-08-24 22:16:04

Hulic001キャプチャ

 

  不動産大手のヒューリックは、2024年に自社保有の再生可能エネルギー発電100%で「RE100」を達成するとともに、2030年には全保有建物のCO2排出量ネットゼロを達成する目標を掲げた。保有する再エネ施設はすべて新規開発で、FIT(固定価格買取制度)の対象外として再エネ賦課金に頼らない。「カーボンフリー・ビルディング」の提供で市場での競争力も高まる。

 

 同社のこれまでの「脱炭素目標」は、RE100の達成が2025年、ネットゼロは2050年だった。今回目標は、それぞれ大幅に前倒しすることになる。同社の脱炭素の最大の特徴は、自社物件の省エネ化を促進すると同時に、非化石証書の購入や特定の電力会社との再エネ契約などではなく、太陽光発電と小水力発電設備を自ら開発して、CO2削減を進めている点だ。

 

 自社の「2050年CO2排出量ネットゼロ」計画に基づき、現時点で稼働中の非FIT太陽光発電設備は7カ所(7.8MW)、小水力発電設備は11 カ所(199KW)を抱えている。さらに2021年末までに合計18カ所カ所(20MW 弱)の太陽光発電設備の稼働を見込んでいる。


 再エネ発電開発に際しては、協力会社の「アドバンス」に対して、新規開発の太陽光発電の長期・定量での購入を約定することで、同社にヒューリック向けの開発・スピードの増強を促してきたという。そうした促進策の結果、当初、年約30MWだった再エネ開発能力は、現在は同40~50MWにレベルアップしている。



 また、保有する自社の再エネ施設は、既存の再エネ事業を調達するのではなく、「追加性」を確保するため、すべて新規開発事業としている。これにより、CO2排出量削減に直接的に貢献できる。さらに、経済産業省のFIT制度を利用して買取価格を固定する場合、電力消費者に再エネ賦課金に依存する形になるが、同社では発電施設をFITの対象外とすることで、そうした負担をかけない方式をとっている。

 

 同社の100%子会社のヒューリックプロパティソリューション社が新電力(小売電気事業者:PPS)会社となり、同社が保有する再エネ施設と保有建物との売買電スキームを構成するため、自社グループ完結型コーポレートPPAモデルとなる。

 

  アドバンスとは、今回の「2030年ネットゼロ」目標の達成宣言に際して基本協定を締結し、再エネ設備メンテナンス会社を共同で設立した。自前発電電力を系統線に接続後の業務運営等についても協力関係を強化している。


 同社では「この取り組みを通じて、SDGsの目標 7『エネルギーをみんなに、そしてクリーンに』 および目標13『気候変動に具体的な対策を』の二つの目標達成 に貢献したい」とコメントしている。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3003/announcement3/71557/00.pdf