アラブ首長国連邦(UAE)、湾岸産油国初の「2050年ネットゼロ」宣言。再エネ開発促進に約18兆円(RIEF)
2021-10-11 21:27:38
中東の有力産油国であるアラブ首長国連邦(UAE)は7日、湾岸産油国として初めて。2050年ネットゼロを目標に掲げ、自国の経済の脱炭素化を進めることを宣言した。自国内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにするため、6000億ディルハム(1630億㌦=約18兆円)を投じて、再生可能エネルギーやクリーンエネルギーの開発を促進するとしている。
(写真は「2050年ネットゼロ」を宣言するUAE・アブダビ首長国のムハンマド皇太子ら)
UAEの事実上のリーダーであるアブダビ首長国のムハンマド皇太子(Sheikh Mohammed bin Rashid Al Maktoum)は「われわれの開発モデルは、このネットゼロを盛り込み、国のすべての機関は目標達成のために、『ワンチーム』で取り組む」と宣言した。
UAEはこれまで2030年に温室効果ガス排出量の23.5%削減とし、50年は再エネと原子力で50%削減とすることを目標としていた。UAEは世界第8位の石油生産国で、人口当たりでは第2位の石油・ガスの化石燃料生産国だ。ただ、国連の気候変動枠組み条約のルールでは、削減するのは化石燃料の焼却による温室効果ガス排出量であり、化石燃料の生産の削減ではない。
UAEはすでに世界最大規模の太陽光発電事業を抱えるほか、2020年にはアラブ地域で初の原発を稼働させている。また水素エネルギーについても、化石燃料由来のブルー水素の製造だけでなく、太陽光発電で水を電気分解するグリーン水素事業にも着手している。2023年のCOP28の開催地にも名乗りをあげている。
石油やガスの生産過程からの温室効果ガス削減のために、ガス漏洩のモニタリング、生産過程の改善、よりクリーンな設備への投資等も進めるとしている。
他の産油国と同様、UAEは「石油後」の世界を睨んで、自国経済の多様化を推進している。湾岸各国は今月25日にサウジアラビアのリヤドで、「中東グリーンイニシアティブ・サミット」を開催する予定。UAEの2050年目標の詳細な内容はその際に公表されるとみられている。