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第6次エネルギー基本計画、閣議決定。電源構成に占める再エネ比率は36~38%。石炭・天然ガス合計の火力発電は41%と、依然、化石燃料発電が最大(RIEF)

2021-10-22 17:06:32

coal002キャプチャ

 

 政府は22日、新たなエネルギー基本計画を閣議決定した。「2050年ネットゼロ」に向け、温室効果ガス(GHG)排出量を減らす再生可能エネルギーを「主力電源」と位置づけ、これまでの目標だった発電量全体の22~24%から36~38%に引き上げる。原発は20~22%と従来の目標通り。石炭火力は19%と依然、高い水準で、天然ガス等を使う火力発電を合わせると化石燃料発電は41%で再エネを上回る。30年にはGHG46%削減を国の目標としているが、今回のエネルギー計画では国内分の削減だけでは達成できない状況にある。

 

 (写真は、中国電力等が広島県で開発中の石炭ガス化燃料電池複合発電実証プロジェクト)

 

 基本計画はわが国の中長期的なエネルギー政策の方向性性を決めるもので、原則3年に一度改める。今回は今月末から英国で開く国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に提出する、国が決める削減貢献(NDC)の内容と連動している。発電部門の脱炭素化を進めるため、30年度の電源構成の目標を6年ぶりに見直した。

 

 計画ではわが国のGHG排出量の約4割を占める発電部門の新たな電源構成として、再エネが36~38%、原子力20~22%、燃焼水素・アンモニア1%、石炭や天然ガスを使う火力発電41%とする。19年度の実績比では、再エネはほぼ倍増、原子力は約3倍増、火力発電は76%の実績から約46%減となる。ガスを含めた化石燃料発電が最も多い構造は変わらない。

 

第6次エネルギー基本計画の内容
第6次エネルギー基本計画の内容

 

 原発は引き続き既存の原発の再稼働を進める方針で、従来の目標を維持した。しかし、計画の目標を実現するには、原子力規制委員会に再稼働の審査を申請した27基の原発のすべてが再稼働する前提となる。しかし、これまでのところ再稼働できたのは10基のみ。19年度の原発の発電比率は約6%でしかない。他の原発はいずれも審査が難航している。

 

 岸田首相は自民党総裁選で小型原発の開発に言及した。だが、今回の計画では原発の新増設や建て替えの是非は明記しなかった。ただ、「必要な規模を持続的に活用していく」とし、将来の新増設の可能性に含みを残した形をとった。

 

 再エネを「主力電源化」として掲げたものの、中心になって展開してきた太陽光発電は国内では大規模な開発余地が限られているほか、普及が進むと電気料金の値上がり要因になる可能性も指摘されている。期待される洋上風力発電については、建設工事等に時間がかかることから30年度の発電量は、現行の1.7%の目標を目いっぱい引き上げて5%止まり。

 

 こうした状況から、国際公約としている2030年度の46%削減を実現するには間に合わず、国連に提出するNDCでは不足する1億㌧の削減分を、途上国で実施する温暖化削減事業からの削減クレジットで補填する計画としている。1億㌧の海外クレジットは、2019年度の日本の排出量の約8%に相当。目標年度の30年度の排出総量の13%にもなる。

 

 国内でのGHG削減が十分に見込めず、海外クレジットに依存する日本政府の「数合わせ策」に対しては、内外の環境NGOらから、パリ協定が求めるNDCの趣旨に合致しないとの批判の声があがっている。https://rief-jp.org/ct8/119107?ctid=71

 

 日本政府が国連気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)に提出したNDCによると、2030年度のGHG排出量は7億6000万㌧。2013年度比で46.0%削減とするが、このうち、13年度時点で最も排出量の多い鉄鋼、化学、セメント等の産業部門の削減率は38%減、自動車等の運輸部門の35%減とともに、46%減の基準以下にとどまる。

https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211022005/20211022005.html

https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211022005/20211022005-1.pdf