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南極の海氷、「夏」の2月に、観測史上最小にまで縮小。国立極地研と、JAXAの観測で判明。温暖化の影響、北極の海氷だけでなく、南極にも影響(RIEF)

2022-05-06 17:11:28

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  南極大陸は今、秋。少し前の夏真っ盛りの2月に、海氷面積が観測史上、過去最小を記録したことがわかった。日本の国立極地研究所と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の観測でわかった。過去10年間の最小面積の平均と比べても、3割近くも小さく、極地研等では、温暖化の影響が進行しているとの見方を示している。

 

 (写真は、水循環変動観測衛星「しずく」がとらえた南極の海氷の分布(2022年2月20日時点。白色部分)。橙色の線は2000年代の同時期の平均的な海氷縁の分布)

 

 両機関は、JAXAの水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)の観測データをもとに、南極の海氷面積の時間的・空間的な変化を可視化したデータを公開している。それによると、昨年9月ころまでは顕著な減少はみられなかったが、同10月ころから海氷面積が徐々に減少を続け、年明け後、2月に入っても減少が続き、2月20日に212.8万㎢にまで減少した。

 

左下の赤い破線で記したところが2月の経年的な海氷面積
左下の赤い破線で記したところが2月の経年的な海氷面積

 

 この値は、1978年の観測開始以来、史上最小値となった。これまでの最小面積は2017年3月1日の約214.7万㎢。過去10年間(2012~2021年)の年間最小面積の平均値290.2万㎢の73.3%にとどまったことになる。

 

 今年は年明け以降、極端な減少はみられなかったものの、減少傾向が続いていた。特に、太平洋側のロス海の海氷の減少が目立った。その後は回復傾向がみられたという。南極の海氷は「夏」を迎える2月ごろに最小となり、「冬」となる9月ごろに年間で最大になる。

 

 海氷は、大気と海洋間の熱交換量で成長や融解する量が決まるほか、風や海流によって漂流し、時には板状の海氷が互いに重なり合うような激しい変化が起こることもあるという。南極の海氷が小さくなっても、北極海の海氷と同様に、海面に浮いているので、海面上昇には直接、つながらない。だが、温暖化の影響で年々海氷が縮小する北極圏と同様の現象が、南極でも起きていることを示すものといえる。

 

 朝日新聞によると、極地研の矢吹裕伯特任教授(雪氷学)は「温暖化の影響と言える」としたうえで、「南極の海氷は変化に振り幅があり、年々、小さくなっているわけではない」と説明しているという。JAXAは、より高精度な観測が可能となる観測衛星を現在、開発中で、23年度に打ち上げる予定。https://digital.asahi.com/articles/ASQ537GNFQ52ULBH00J.html

 

https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20220428.html