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国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)、ブラジルのアマゾン地域の都市ベレンで開催決定。気候変動加速の象徴でもある「アマゾン」で、気候危機打開の再確認を目指す(RIEF)

2023-05-28 11:33:13

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 ブラジル政府は26日、2025年に開かれる国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の開催地にブラジルのアマゾン地域にあるパラ州の州都ベレンが選ばれた、と発表した。ベレンはアマゾン川の河口付近にある人口約150万の都市。アマゾンの保護と開発は、人類が地球の環境にどう取り組むかを象徴するテーマとして国際的にも関心が寄せられている。

 

 同国のルラ大統領が26日、ツィッターで情報発信した。その後のビデオ声明で「私が過去に出席したCOPではみながアマゾンのことを話していた。この機会にアマゾン川や熱帯雨林を見てほしい」と話した。大統領は昨年11月にエジプトで開いたCOP27に出席し、アマゾン地域でのCOP開催を提唱していた。

 

 今年のCOP28はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催される予定。ただ、次の2024年のCOP29の開催地は、オーストリア等が立候補しているが、まだ正式には決まっていない。

 

 COP29の開催地より先んじてブラジルが2025年のCOP30の開催地に決まったのは、「世界の肺」と呼ばれるアマゾン地域の熱帯雨林地帯でCOPを開くことで、気候変動対策を推進するグローバルな決意を改めて確認する狙いがあるようだ。

 

 アマゾン流域はブラジルのほか、ペルー、ボリビア、コロンビア、エクアドルの各国にわたっている。そのうち6割強をブラジルが占める。豊かな森林資源が広がる一方で、その豊かな資源の開発も進んでおり、ボルソナロ前政権下で森林の伐採、農地転換、違法伐採等が急速に進み、先住民からの抗議、国際社会から懸念等があがっていた。

 

 今年1月に発足したルラ政権は、前政権の開発政策を修正して森林保護強化を打ち出している。発足後、森林の消失面積は、昨年の同じ時期に比べ約4割減ったとされる。同政権はアマゾン保護を強化するための国際的な協力支援を目指しており、COP30誘致もそうした意味合いもある。ルラ氏はビデオで「私が出席したCOP27では、みんながアマゾンのことを話していた。この機会にアマゾン川や熱帯雨林の現状をみてほしい」と語った。

 

 国連気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)も、積極的にブラジル開催を推進した。グローバルな気候変動対策をめぐる毎年のCOP会議ではこのところ、先進国と途上国の対立がより一層、先鋭化している。成長の著しい途上国での効果的な排出削減策と、その負担をめぐる南北間の調整がカギとなっているためだ。そうした中で、気候対策重視の視点を改めて共有化するために、ブラジルでのCOP開催を選んだとみられる。

 

 ルラ政権は環境保護を重視する姿勢を打ち出しているものの、国全体では、資源開発と環境保護の対立が依然続いている。直近では、国営エネルギー企業のPetrobrasがアマゾン河口沖の海域で海底油田・ガス田開発を計画している問題が政権基盤を揺るがしている。環境ウォッチドッグのIbamaが開発是認のを否を宣言。これに対して、政府部内でもエネルギー省等が反発するなど、政権内でエネルギー開発か、アマゾン保護かで論争が起きている。

 

 こうした中で、連邦議会の担当委員会は先週、環境・先住民担当官庁の権限を制限する法律原案を承認する動きを示し、議会とルラ政権の対立も鮮明化している。ルラ氏のCOP30誘致は、こうした内外での対立や摩擦等に対処する外交、内政両面での思惑もあるようだ。

 

https://twitter.com/BPartisans/status/1662136135487717377

https://www.euronews.com/green/2023/01/16/brazil-makes-official-bid-for-amazonian-city-to-host-un-climate-conference-in-2025

https://www.argusmedia.com/en//news/2453964-brazil-to-host-cop-30-lula?backToResults=true