HOME |4月の世界の平均気温も、3月に続いて観測史上過去最高を更新。昨年6月以来、最高月間記録を11カ月連続更新中。産業革命前以来の気温上昇も「1.5℃超え」の「1.58℃」(RIEF) |

4月の世界の平均気温も、3月に続いて観測史上過去最高を更新。昨年6月以来、最高月間記録を11カ月連続更新中。産業革命前以来の気温上昇も「1.5℃超え」の「1.58℃」(RIEF)

2024-05-08 22:12:34

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上図は、4月の世界の平均気温の状況。「濃い赤」の地域が特に気温が高かった)

 

  4月の世界の平均気温も観測史上、過去最高となる15.0℃で、これまでの最高気温(2016年4月)を0.14℃上回った。これで昨年6月から続く月間最高気温の記録は11カ月連続となった。産業革命前の4月の平均気温からの上昇は1.58℃で、パリ協定が目標とする「1.5℃」をすでに上回っている。過去1年間の平均気温も過去最高で、産業革命以来では1.61℃上回っている。世界の気温上昇は2022年半ば以降、新たな気温レベルに移行した可能性がデータで明瞭だ。

 

 EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」が8日、公表した。3月の世界の平均気温14.14℃からm、0.86℃の上昇。4月の平均気温は、近年の1991~2020年の平均気温を0.67℃上回った。産業革命前からの気温上昇も1.58℃となり、「1.5℃」を上回った。月別で「1.5℃」を上回るのは今年1月以来、4カ月連続となる。

 

 地域別では、欧州の気温が91~2020年平均を1.49℃上回る4月としては過去2番目の暑い月だったが、東欧諸国の大半は平均気温を上回った。北欧、アイスランド等は平均気温を下回った。また西欧諸国も月の始めは一段と暑く、後半は冷え込む等の変化があったが平均気温は上昇した。北米の北部、北東部、グリーンランド、東アジア、中東の北西部、南米の一部、アフリカの大半等は、いずれも平年を上回る気温が続いた。

 

昨年6月以降、世界の平均気温は「一段アップ」の状況が続いている
昨年6月以降、世界の平均気温は「一段アップ」の状況が続いている

 

 東太平洋の赤道付近で発生したエルニーニョ現象は、引き続く弱回り、気温の変化に中立的な状況となっている。だが、海洋上の気温は、全般的に通年よりもかなり高い水準でとどまり続けているという。こうした影響もあり、世界の海洋表面の平均水温は北緯・南緯60°の間の海域では、21.04℃と、4月の平均水温としては過去最も高かった。3月に付けた21.07℃の最高水温に次ぐ高水準だった。

 

 4月の世界全体の湿度は、欧州の北西部、中央、北東部の大半では平年よりも湿った大気で覆われた。一方、南欧の東スペインの大半、イタリア半島、バルカン西部、トルコ、ウクライナ、ロシア南部、アイスランドの各地域は、平年よりも乾いた大気となった。北米の中央、東部、南部地域と、中央アジア、ペルシャ湾岸地域、東アジア、東オーストラリア、ブラジル南部等は雨量が多く、一部では洪水を引き起こした。メキシコ北部地域や、カスピ海周辺国、チベット高原、オーストラリア大陸の大半等は、平年よりも乾いた大気だった。

 

 北極圏の海氷は、平年より2%少なかった。過去10年間の4月に起きる現象と比べると、相対的に負の異常な変化はあまりみられなかった。前月の3月は、北極海全体で海洋の集積現象がみられた。平年を上回る海氷集積現象は同地域に加え、グリーンランド周辺海域でもみられた。南極圏の海氷は、平年を9%下回る状況で、衛星観測によると4月としては過去10番目に低い月だった。ロス・アムンゼン海域と、ウェッデル海北部の海氷集積は平年を下回った。

 

北緯・南緯60°の間の海温の上昇状況
北緯・南緯60°の間の海温の上昇状況

 

 海洋表面の水温が最も暑い状況は、13カ月連続となっており、陸上の11カ月連続の月別最高気温を上回る記録が続いている。C3Sのシニア気候科学者、ジュリアン・ニコラス(Julien Nicolas)氏は「多くの科学者は、気候システムにおけるシフトが起きているのかどうかという疑問に直面していると思う」と指摘。地球の気温変化が、システム的な変化の局面にある可能性を指摘している。

 

 英ニューカースル(Newcastle)大学の気候科学者、ヘイリー・ファウラー(Hayley Fowler)氏は「(4月の気温上昇からいえることは)2015年のパリ協定で定めた、地球温暖化を『1.5℃』に抑えるという目標を、世界が破りかけていることを示している。われわれは『1.5℃』未満に抑制する戦いに敗れた、と宣言するのは、どの時点なのか?私の個人的な意見では、われわれはすでにその戦いに敗れており、(次の目標である)『2℃』未満に抑えることを維持し、できる限り早く、温室効果ガス(GHG)の排出量を削減することを真剣に考えるべきだ」と警告している。

 

 技術的には、「1.5℃目標」はまだ見失われたとはいえない。同目標を超えたかどうかは、10年単位での世界全体の気温の状況を評価して判断するためだ。しかし、多くの科学者たちはすでに、ここ10年の平均気温の上昇や、昨年来の急速な上昇加速等を踏まえると、「1.5℃目標」の達成は、もはや現実的ではないと指摘し、各国政府に対して、CO2排出が目標超過して悪影響が拡散する前に、できる限り早く排出抑制に取り組むことを急ぐよう求めている。

https://climate.copernicus.eu/copernicus-global-temperature-record-streak-continues-april-2024-was-hottest-record