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太陽光発電コスト、今後10年で現状より60%以上低下。太陽光市場さらに拡大へ。国際再生エネルギー機関事務局長が予測。年間導入量も増大へ(RIEF)

2017-10-24 22:49:06

solar3キャプチャ

 国際再生エネルギー機関(IRENA)のアドナン・アミン(Adnan Amin)事務局長は、「太陽光発電のコストは今後10年間でさらに60%以上の削減するだろう」と、述べた。太陽光発電のコスト低下はすでに急激に進んでいるが、コスト低下はさらに進み、今後、毎年、80 GW~90 GWの発電容量が追加される、との見通しを語った。

 アミン氏は、太陽光発電が今世紀の初めには、世界でもほとんど実質的にゼロに近い状態からスタートし、2016年末には世界全体で300GWにも発電容量を拡大した点を強調。今後10年間でさらなる2020年まで増加すると期待していると述べた。

 Irenaが予想する年間80GW~90 GWの追加発電容量は国際エネルギー機関(IEA)が予想している73GWの推計を10~20%ほど上回る強気の予測となっている。日本の太陽光設備全体の約3倍の規模で、LEDに換算すると80億個に相当する。

アドナン・アミンIRENA事務局長
アドナン・アミンIRENA事務局長

 アミン氏は強気予測の理由として「将来、太陽光発電コストがさらに下がることから、発電容量の拡大は容易に加速される。中国だけでも年間50GWが追加されていくだろう」と述べた。コストの低減は現状よりもさらに60%以上下がることは、半分以下の投資額で太陽光投資が進展することを意味する。

 太陽光発電の導入が今後も高まるとみられる中国では、石炭火力発電による煤塵や硫黄酸化物等の大気汚染対策として、太陽光発電の導入が引き続き継続するとみられている。またインドも、ムディ首相が再エネ導入を強く推進しており、引き続き太陽光発電導入が高い比率で継続するという。

 また経済成長が著しいASEAN諸国は、2025年までに発電に占める再エネ比率を全体で23%に引き上げる目標を立てているが、アミン氏は「野心的な目標だが、達成可能とみている」と評価している。ASEAN(10カ国)の場合、現時点では太陽光発電の比率はほとんどゼロに近い。

 太陽光技術の進展は、特に窓などに貼り付けが可能な薄型フィルムの価格低下が期待されている。また再エネ電力を蓄電する蓄電池のコスト低下も今後10年以内に60~70%の低下が見込めると予測している。発電サイドの太陽光、蓄電サイドのバッテリーの両方のコスト低下によって、太陽光発電はさらに広がる可能性を高める。

 ただ、アミン氏は、これらの技術進歩による価格低下の一方で、トランプ米大統領が国内のパネルメーカーを守るため、価格低下が進む海外パネルの輸入に制限をかけようという動きを強めていることに懸念を深めている。こうした貿易紛争・貿易障壁が低コストの再エネシステムの広がりを阻害する可能性があるためだ。

 

 アミン氏は「自国産業を守るための政策は必ずしも最良の戦略にはなりづらい。何故なら、長期的にみると、望ましいのは、より安くて安定したエネルギーの供給であるためだ」と指摘している。

 

http://www.irena.org/home/index.aspx?PriMenuID=12&mnu=PriPriMenuID=12&mnu=Pri