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古河電池と凸版印刷 水だけで発電する非常用「マグネシウム電池」開発、12月に販売へ。CSR意識がビジネスに展開(FGW)

2014-09-02 00:53:01

magnesiumbatteryキャプチャ
magnesiumbatteryキャプチャ古河電池と凸版印刷は、世界初となる紙製容器でできた非常用マグネシウム空気電池『マグボックス』を共同で開発し、2014 年12 月中旬に古河電池が市場に発売すると発表した。水を2リットル用意するだけで、発電できるという。
両社が開発した電池は、「非常用Mg空気電池 『マグボックス』」という名称。マグネシウムを負極物質、空気中の酸素を正極物質とし、水や海水を投入して発電させる。大容量かつ長期間保存可能で、非常時に水を入れるだけで、多くの携帯機器に電力を供給することができる。

 

『マグボックス』は蓄電池ではなく、使い切りの一次電池である。この電池を使うには、まず、水や海水を入れたペットボトル1本を用意する。電池に同梱されている注水用ノズルをペットボトルに付けて、電池に注水する。注水量は合計2㍑。注水後約3分で十分な電力に達するという。

 

これまで、災害時の最も重要な問題の一つに、携帯機器の電池切れによる情報の遮断があった。古河電池は、東日本大震災の被災地(福島県いわき市)に立地している。震災時で得た「何が本当に必要だったのか?」という思いを徹底追求し、電池製造企業の社会的責任(CSR)意識も踏まえ、凸版印刷と開発した。発売後は全国の自治体向けに売り込んでいく方針だ。

 

電池の負極に用いるマグネシウムは塩水に溶けやすく、原子が放出する電子の量も多いため発電効率が向上する。また、正極で酸素の反応を活性化させる触媒として従来はプラチナやレアメタルを使っていたが、古河電池の独自技術により、レアメタルを使用しない酸素還元触媒を使用することでコストを削減したという。
マグネシウム空気電池は外部の空気を取り入れるため、水密構造を維持して大型化するのが困難だったという。古河電池と凸版印刷は、両社の既存技術を融合させ、電解液が漏れにくく、かつ実用的な容量を確保する構造を実現した。また使い捨て電池として、使用後の廃棄が容易となるよう、環境に配慮した紙製容器を使用している。

 

水だけでなく、海水でも発電が可能で、スマートフォンなら最大30回充電できる。電池の容量は300Wh、5V出力で1.2Aの電流を取り出すことが可能で、ほぼ全てのスマートフォンやタブレット端末に対応する。また従来の重油使用非常発電機とは異なり、発電時に騒音が発生しないだけでなく、CO2の発生もない、という利点がある。

 

http://www.furukawadenchi.co.jp/topics/140829_pro.pdf